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2022年11月8日皆既月食

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きれいに晴れて、すばらしい皆既月食でした!
すぐ隣には、食が起こる前の天王星が写っています。
天王星食については、この記事の下の方をご覧ください。

 

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始めから終わりまで、きれいに見え続けました。

 

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当日は名古屋市科学館公式YouTubeチャンネルで解説付きのライブ中継を行いました。
こちらからアーカイブ映像が見られます。

 

以下は過去の情報を含みますが、
見え方の原理などを解説していますので、ぜひお読みください。

 


2022年11月8日の夜。すばらしく好条件の皆既月食がおこります。今回は18時すぎの欠け始めから22時前の欠け終わりまで、見やすい時間帯にすべて見ることができます。地球の影に月がすっぽり入り、深い赤い色に見える皆既の時間はなんと1時間26分もあります。図のように欠け始めは低空ですので、東の視界が開けたところを事前に探しておきましょう。

 

今日は名古屋市科学館公式YouTubeチャンネルでライブ中継を行います。晴れている地域の方は、スマホやタブレットで受信しつつ、本物の月食を見上げてください。オンライン市民観望会「皆既月食」

  

● 月食は月が欠けていく現象です。普段からご覧の「月」を見るわけですから、特別な道具は要りません。もしオペラグラスや双眼鏡などをお持ちでしたら、よりラクにみることができます。今回の月食は東北東の空低くですので、その方向の視界が開けたところを探しておきましょう。月食自体の進行の時刻は日本のどこでも同じですが、地域によって、地平線からの高さや方角が少し違います。今回の月食は日本の北東の地域の方が少し月が早く昇り見られる位置も高くなりますが、その差はごくわずかです。

  

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 日食と月食は、太陽と地球と月の位置関係で起きるという意味では、よく似た天文現象です。太陽と地球の間に月が入って、月の影が地球に落ちるのが日食。月が太陽の反対側に行って、地球の影に月が入るのが月食です。

 

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● 今回の皆既月食は地球の影の中央やや上を通過します。地球の影に深く入るので1時間26分もの長い皆既時間があります。  

さらに月明かりが弱くなりますから、空が暗い郊外や山奥では、明るい「月夜」から「闇夜」にかわります。山奥などでは皆既の間だけ天の川が見えるようになります。今回は昇ってきた満月が欠けていき、元に戻っていきますから、月夜→闇夜→月夜 になります。2014年の皆既月食ではその様子を捉えることができました。こちらに動画があります。

  

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 皆既月食の月が赤く見えるのは、地球に大気があるからです。図のように地球の大気を通り抜けた光は、やや内側に回りこみ影の中の月を照らします。今回のほぼ皆既月食では月の下のほうが少し影から出ていますので、全体が赤くなるわけではありませんが、影の中心に近い月の上の方が赤く見える可能性があります。

 

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 この光は地球大気の中を長い距離通過してから通り抜けるので、その間に波長の短い紫や藍色、青といった色の光が、途中で散乱されてしまいます。これが青空です。その結果通り抜けてくる光は赤っぽくなります。夕日や朝日が赤く見えるのも同じ理由です。また地球は丸いので地球の大気も大きく見ると凸レンズ型になります。そこで光は曲げられて影の中に向かい皆既中の月を赤く照らすのです。

  

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 部分月食の月の欠け際の丸みは、地球の丸みです。ついつい皆既や食の最大の時間だけに目が行きがちですが、その前後の欠けている月で、私たちは地球が丸いことを実感できるのです。また、月食の時の欠け方は、普段の月のくっきりとした欠け方と違って、欠け際がぼんやりとしています。これは地球の影の外側に半影というぼんやりした影がさらに広がっていることが原因です。月食の時、月から見ると地球が太陽を隠す日食になっています。この時、太陽が地球によって全部隠れて見えている地域は真っ暗になっていますが、半分とか、少ししか隠れていない地域もありますね。そこは薄明かりが当たっていて、地球から見ると半影となるのです。また、欠け際のカーブは地球の影の形です。そこで地球の方が月よりかなり大きいこともわかりますね。この大きさを測ると地球の大きさが求められます。ただし実際、月の距離では影がすぼまっていて、月の大きさの約3倍とやや小さめになっています(本当は4倍)。

  

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 太陽の周囲を回る地球の軌道に対して、月の軌道は傾いています。また、空間的に一直線に並ばないと、日食や月食にはなりません。ただし、図の上側と下側の位置では、たとえ軌道が傾いていても空間的に一直線になりますね。つまり半年ごとに月食や日食のチャンスがあるわけです。2021年5月26日にあった皆既月食(図下、名古屋は曇り)の半年後が、前回の11月19日の月食(図上、名古屋は晴れ)でした。その次が2022年5月の日本で見られない皆既月食で、その次の月食が今回となり、日本では1年ぶりの深い月食。厳密に皆既月食とすると2021年5月26日以来の月食となります。

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今年の日月食に絞ったシンプルな図はこちらです。

 

● 前回、名古屋からきれいに見えた深い月食は1年前の2021年11月19日でした。写真などはこちらです。

 前回、名古屋からきれいに見えた皆既月食は3年前の2018年1月31日でした。写真などはこちらです。

 リンク先の月食一覧(1993-2030)のページでは、さらに長い期間の名古屋の過去と未来の月食をご覧いただけます。

 

今回の皆既月食中に天王星食が起きます。報道されている何百年ぶりという年数は事実ですが、その現象が400年分すごく見えるとかではありません。地味な、しかし興味深い現象です。月に隠される天王星の明るさは5.6等級。理論的に肉眼で不可能ではない明るさですが、望遠鏡などを使ってきちんと準備することが必要です。また食の時間帯は皆既月食の月と違って月そのものに隠されていますから、天王星は見えなくなります。そこで隠れる(潜入)直前か、出てきた直後(出現)がチャンスです。

 

この天王星食がネット中継の体験が進んだ今年のことでよかったです。名古屋市科学館も含めて各地で行われるネット中継で、この現象をじっくりご覧いただけるからです。天王星の大きさと月の移動速度の兼ね合いで、10秒程度かけて天王星の光が失われていきます。公開天文台や科学館の立派な望遠鏡越しにぜひ楽しんでください。

 

名古屋では、皆既月食中の20時34分16秒から29秒にかけて潜入し、部分食中の21時21分37秒から51秒にかけて出現します。月食と違って、この現象は各地でタイミングが違いますので、詳細な時刻が必要な方は、国立天文台惑星食各地予報から必要事項を入れて確認してみてください。

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この写真は2014年10月8日の皆既月食中の天王星です。この時は北極海周辺で天王星食となり、礼文島、稚内付近で部分月食中に天王星食が起こりました。天王星はクリックして拡大しないとわからないくらいの控えめさです。

この天王星食について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。国立天文台暦Wiki 皆既月食中に惑星食

   

● 当日は 公式YouTubeチャンネルにて、学芸員による生解説つきライブ中継を行います。日にちが近くなったらタイトルが出ますので予約してください。オンライン皆既月食をみる会 11月8日(火) 19:00-21:00 

月食当日はお家の近くの見晴らしの良いところで、スマホやタブレット片手にライブ中継での解説を聞いていただきつつ、本物を眺めてみてください。欠けていく月や戻っていく月、皆既月食の赤い色は肉眼で十二分に楽しんでいただけます。晴天を祈ります。

  

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