科学館を利用する > 利用案内 > お知らせ > 火星の謎に迫る地球の丸い石"鉄コンクリーション"の成因を当館学芸員が参加する研究グループが解明
記事掲載: 2018年12月06日
当館企画調査委員で名古屋大学博物館の吉田英一教授が中心となり、当館の西本昌司主任学芸員が参加する研究グループが、地球と火星の地層に含まれる球状鉄コンクリーションの成因を解明。論文が米国科学雑誌「Science Advances」(平成30年12月5日付電子版)に掲載されました。
鉄コンクリーションは、地層中にできた主に鉄分から成る球状塊のこと。2004年 、火星探査機「オポチュニティ」によって、火星メリディアニ平原の地層中から発見され、「ブルーベリー」と呼ばれている丸い粒も、鉄コンクリーションです。この「ブルーベリー」と形や組成が似ていることで注目されてきたのが、米国ユタ州の鉄コンクリーション「モキマーブル」(写真)で、その成因について、十数年来、論争が続いていました。
研究の結果、鉄コンクリーションは、もともと炭酸カルシウム(方解石)コンクリーションであり、酸性の地下水との化学(中和)反応によって、鉄コンクリーションに置き換わったものだとわかりました。このことは、火星上に炭酸塩がほとんどない理由を説明できるため、火星の歴史を探る上でも重要な発見と言えるでしょう。詳しくは、名古屋大学によるプレスリリースと掲載誌(英文)をご覧ください。
なお、当館生命館2階でユタ州の鉄コンクリーション「モキマーブル」を展示、理工館6階「話題の科学」コーナーで解説パネルを設置しています。
©NASA
Science Advances 2018;4:eaau0872
Fe-oxide concretions formed by interacting carbonate and acidic waters on Earth and Mars.
吉田 英一(名古屋大学博物館)
長谷川 精(高知大学理工学部)
勝田 長貴(岐阜大学教育学部)
丸山 一平(名古屋大学環境学研究科)
城野 信一(名古屋大学環境学研究科)
南 雅代(名古屋大学宇宙地球環境研究所)
淺原 良浩(名古屋大学環境学研究科)
山口 靖(名古屋大学環境学研究科)
西本昌司(名古屋市科学館)
ニーデン・イチノロフ(モンゴル古生物地質研究所)
リチャード・メトカルフェ(英国地質調査所)
※本論文はオープンアクセスです
論文はこちら。
http://advances.sciencemag.org/content/4/12/eaau0872
名古屋大学プレスリリースへのリンク
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20181206_num.pdf