科学について調べる > 学芸員NOW > 1月の人気実験総選挙
みなさん、2024年もよろしくお願いします!!実験強化年度※真っ最中!!!!学芸員の山田こうすけです。
月イチ恒例サイエンスショー「こうすけハカセの人気実験総選挙※」を1月20日(土曜日)と21日(日曜日)に行いました。(※実験強化年度?人気実験総選挙?なにそれ??という方は学芸員NOW「5月の人気実験総選挙」の記事を読んでね!)
今月のテーマは前回と同じ「水」です。前回は静電気で水を曲げる実験を行いましたが、今回は水・氷・水蒸気の三態変化を取り上げます。今回も水の不思議な性質を実験で確かめてみましょう!!
まずは投票結果です。サイエンスショーをご覧いただいた皆様に投票いただき、最高4から最低1(4:楽しく勉強になった、3:まだ伸びしろあるね、2:もっとがんばって、1:ぜんぜんつまらない)の点数をつけていただきました。結果は以下の通りです。
1日目 4:77票 3:2票 2:1票 1:1票 期待値:3.91
2日目 4:76票 3:15票 2:6票 1:1票 期待値:3.69
合計 4:153票 3:17票 2:7票 1:2票 期待値:3.79
合計で179名の方にご投票いただきました。ありがとうございました。
正直、ここまで「4」が多いとは思っておらずビックリしました!10月から1月までで最高の期待値です。これは「水」をテーマにしたサイエンスショーを早く作らないといけませんね!!
次に実験を紹介します。実験の様子の一部は当館公式YouTubeチャンネルにて公開しますので、もう一度見たい方、見ていない方はぜひご覧ください。→ こちら(YouTubeサイトへ)
実験1:水を水蒸気にかえる
水を入れたフラスコを熱して沸騰させ、ゴム栓に取り付けた銅管から水蒸気を噴き出させます。ここで気をつけたいのが「水蒸気と湯気の違い」です。水蒸気が空気中で冷やされると水になり、白い煙の湯気となります。つまり湯気は水蒸気ではなく小さな水の粒です。銅管をバーナーで熱すると、水蒸気の温度が上がり湯気になりにくくなるので、水蒸気が観察しやすくなります。まぁ、目では見えないんですけどね!!笑
実験2:水を氷にかえる
水が氷になる瞬間はなかなか見られませんが、今回は−5℃の過冷却水を使って凍る瞬間を観察しました。過冷却水は水の状態ですが、きっかけを与えると凍りはじめます。今回は細口ノズルから落下させ、その衝撃で凍らせました。いつ見てもキレイな実験ですね。
実験3:圧力を下げると水はどうなる?
温度を変化させる実験は日常生活からも予想しやすいですね。今度は「圧力」を変えるとどんな変化があるのか実験しましょう。
真空容器に水(30〜40℃のぬるま湯)を入れて空気を抜く、つまり気圧(圧力)を下げると…水が沸騰しはじめました。水を取り出してみても温度は熱くなっておらず、むしろ少し冷たく感じました。これは、圧力を下げると水の沸点が下がるため、ぬるま湯でも沸騰しはじめるのです。
実験4:圧力を上げると氷はどうなる?
次は圧力を上げてみましょう。大きな氷のかたまりをえいや!っと叩いてふたつに割ります。割れた面を重ねても、もちろんくっつきません。では、割れた面を重ねて上から強く押して、割れた面の圧力を上げてみます。そして力を抜いて3秒後、持ち上げてみると…なんと割れた氷がくっつきました!!
上から押して割れた面の圧力が上がると融点が少しだけ下がります。これにより割れた面の氷が溶けて水になりました。そして力を抜くと融点が元に戻るため、周りの氷に冷やされて溶けた水が凍って接着剤の役割を果たす、ということです。
実験5:雲をつくろう
温度と圧力によって水・氷・水蒸気が変化する様子をまとめたグラフが「水の状態図」です。水の状態図は天気にも深く関わっています。今回は「雲」を作る実験を行いました。
雲の実験は様々な方法がありますが、今回は炭酸キーパー、炭酸水500mlPETボトル、消毒用エタノールを使って実験しました。圧力を高めたボトルのフタをパッと開けると、圧力が下がることでボトル内の温度が下がります。これによりボトル内の水蒸気が小さな水滴になり雲のように見えるのです。
実験6:水でマッチに火をつける!? (※日曜日は実験1の中で行いました)
実験1で水蒸気は結局見えなかったのですが、この水蒸気が「ある」ということを証明する面白い実験があります。バーナーでしばらく銅管を熱すると200℃以上の過熱水蒸気を作り出せます。この過熱水蒸気をマッチに当てると…火がつきました!!過熱水蒸気によりマッチが発火点(火がなくても燃えはじめる温度)に達したため火がついたのです。
さて、来月は何をテーマにするか絶賛迷走中です!迷走中ですが、乞うご期待!!笑
次回の「こうすけハカセの人気実験総選挙」は・・・
令和6年2月17日(土曜日)午後1時からと、18日(日曜日)午後1時から (30〜40分程度)
名古屋市科学館 天文館4階 サイエンスステージ (入退場自由、要観覧料)
※こうすけハカセの体調等により中止になる場合があります。
次回も、みなさまのご来館をお待ちしております。
学芸員 山田厚輔