科学について調べる > 学芸員NOW > 5月の人気実験総選挙
みなさん、今日も実験していますか!?実験大好き学芸員の山田こうすけです。
突然ですが、今年度を「実験強化年度」と私の中で設定し、毎月新作のサイエンスショーを行っています!タイトルは「こうすけハカセの人気実験総選挙」です。
毎月4つの実験をします。例えば4月は「おぼんと風船」「さかさまグラス」「コップマジック」「ロケット」を行いました。そして、その時ショーを見てくれていたお客さんに4つの中で一番「面白かった」実験を選んでいただき、1位に輝いた実験は5月にも行います。じゃぁ5月の残りの3つの実験は…そう、新しい実験です!
つまり、毎月見ると、必ず3つは新しい実験が見られます。この新しい実験は、普段のサイエンスショーでは行っていない実験をやると決めていますので、サイエンスショーファンのみなさんにはたまらない企画でしょう!?笑
さて、5月に披露した実験とその順位はこちらです。
1位 ビンチョウタンでんち (YouTubeに実験の様子をアップしています→こちら)
2位 ナトリウムの光 (YouTubeに実験の様子をアップしています→こちら)
3位 さかさまグラス(4月の1位)
4位 声に反応するやくひん
1位に輝いたのは「ビンチョウタンでんち」でした。が正直、備長炭で電気が発生するより、その電気で動くクマのぬいぐるみのおかげで1位になったような!?笑
この実験のポイントは、備長炭とアルミ箔が電極の役割を、食塩水が電解液の役割を果たすことで電池になっているということです。アルミ箔から電気の素である電子が取り出され、備長炭の方へと流れていきます。この時、備長炭自体は反応せず、備長炭の表面にある小さな小さな孔にある「酸素」が電子を受け取ることで、アルミ箔からどんどん電子が流れる、つまり電気が生まれるということです。
1位と僅差だった2位の実験は「ナトリウムの光」です。別名「黒い炎」などと呼ばれる実験です。
ナトリウムは、高いエネルギー状態にするとナトリウムにしか放つことができない固有のオレンジ色の光(D線)を放ちます。
さて実験です!光るナトリウムランプの前にナトリウムの炎色反応の火をおくと…なんと、火が黒や灰色に見えるではありませんか!これは、ランプも火もナトリウムだから見られる現象です。火の中のナトリウムが、ランプからの光を「吸収」することで暗くなる、つまり黒や灰色の火に見えているのです。ちなみに、正確には吸収するだけなら完全に黒になりますが、吸収した光をまた様々な方向に放つため、灰色に見えるのです。
3位は4月の1位だった「さかさまグラス」です。とてもハラハラする実験ですが連覇はなりませんでしたね!
これは「大気圧」を体験できる有名な実験です。必要なのは、コップ、水、板だけ!コップに水を入れ、その上から板でフタをします。左手で板を押さえながら、右手でコップを持ち上下ひっくり返して、ゆっくり左手を板からはなすと…見事、板がコップにくっついて落ちませんね!ぜひお家のお風呂でやってみてください!
大気圧は目に見えない空気の力です。コップに水が入ることで、コップ、水、板が「一つのモノ」のようになるため、周りから空気の力がかかります。これにより板がコップにくっついたように見えるのです。
実験では、板にフックを取り付け、2リットルのペットボトル、そして約7kgのボーリング球を持ち上げます。ボーリング球が持ち上がった瞬間の拍手は、サイエンスショーの演示者としては最高の瞬間でもあります!
惜しくも4位となってしまった「声に反応するやくひん」ですが、これは指示薬「フェノールレッド」を使った色変わりの化学実験です。
フェノールレッドは、アルカリ性で赤、中性でオレンジ、酸性で黄へと色を変えます。事前にアルカリ性にしたフェノールレッド溶液に、声をかける、つまり息に含まれる「二酸化炭素」がどんどん溶け込むことで、色が変わっていくという実験でした。
さぁ、6月のショーではどんな実験が見られるでしょうか?
5月1位のビンチョウタンでんちに加え、今のところ「気体」をテーマにした実験を3つ考えていますが、さてはてうまくいくかな!?
こうすけハカセの人気実験総選挙
令和5年6月17日(土曜日)13時から、18日(日曜日)13時から (30〜40分程度)
名古屋市科学館 天文館4階 サイエンスステージ (入退場自由、要観覧料)
※こうすけハカセの体調等により中止になる場合があります。
みなさまのご来館をお待ちしております。
学芸員 山田厚輔