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12月の人気実験総選挙

 

みなさん、こんにちは!!実験強化年度※真っ最中!!!!学芸員の山田こうすけです。

 

月イチ恒例サイエンスショー「こうすけハカセの人気実験総選挙※」を12月16日(土曜日)と17日(日曜日)に行いました。(※実験強化年度?人気実験総選挙?なにそれ??という方は学芸員NOW「5月の人気実験総選挙」の記事を読んでね!

今月のテーマは「水」です。水は私たちの生活には欠かせない身近な物質ですが、科学の目で見れば不思議なことが山のようにある面白い物質です。今回は私の大好きな「水を使ったある実験」をお見せし、どうしてその現象が起きるのかを解明していきました。

 

まずは気になる投票結果です。サイエンスショーをご覧いただいた皆様に投票いただき、最高4から最低1(4:楽しく勉強になった、3:まだ伸びしろあるね、2:もっとがんばって、1:ぜんぜんつまらない)の点数をつけていただきました。結果は以下の通りです。

 1日目 4:70票 3:19票 2:1票 1:2票 期待値:3.71

 2日目 4:79票 3:16票 2:11票 1:6票 期待値:3.50

 合計  4:149票 3:35票 2:12票 1:8票 期待値:3.59

合計で224名の方にご投票いただきました。ありがとうございました。

丁寧に現象の原理を実験を通して解説した前半と、かなりマニアックな科学用語も出しながら深掘りしていった後半とで全く違うショーになったので評価が荒れるかな〜(汗)と思っていましたが、思った以上に良い評価で安心しました。

 

次に実験を紹介します。実験の様子の一部は当館公式YouTubeチャンネルにて公開しますので、もう一度見たい方、見ていない方はぜひご覧ください。→ こちら(YouTubeサイトへ)

 

実験1:水に何かがおこる!

タンクの取水口から細長く水を落下させ、その水に様々な物を近づけて変化が起きるかを実験します。懐中電灯(光)、ガスライターの火(熱)、メガホン(音)、磁石(磁力)などを近づけても変化しませんが、布でこすった風船を近づけると…水が風船に向かって曲がっています!どうしてこんなことが起きるのか解明していきます。

 

実験2:どんな力で曲がる?

風船を布でこすると、風船には静電気がたまります。今回はゴム風船とウールの布をこすり合わせたので、帯電列を参考にすると風船にはマイナス(ー)の静電気がたまります。(ー)の静電気がたまった風船同士を近づけると…2つの風船がはなれる。つまり反発しています!次に、ゴム風船を塩化ビニル製のラップフィルムでこすると、風船がプラス(+)に帯電します。これを(ー)の風船を近づけると…引き合ってくっつきます!

つまり静電気は、(ー)と(ー)や(+)と(+)は反発し、(+)と(ー)は引き合うことが分かります。

 

実験3:水はプラス?それともマイナス?

先ほどの水を曲げた実験は、(ー)の風船を近づけ、水が近づいてきました。ということは、水は(+)ということ…。では(+)の風船を近づけると…水がはなれ…ませんね!あれ?同じように近づいてくる方向に曲がります!!水は(+)なの?(ー)なの?どっち??…実は両方持っているんです。

水分子を構成する酸素原子と水素原子には、電子の偏りが存在します。これを「分極」と言い、酸素原子が(ー)に、水素原子が(+)に偏っています。シンプルに言うと、水分子は酸素側に(ー)の電気をもち、水素側に(+)の電気をもっているということです。

つまり(ー)の風船を近づけると、水分子の(+)の電気が静電気の力で引き合い、(ー)が離れるため、水分子の向きがクルッとそろいます。すると流れる水全体の風船に近い方が(+)に、遠い方が(ー)に帯電するため、静電気の力で風船に向かって曲がります。(+)の風船では、水分子が逆向きにクルッとそろうので、やはり風船に向かって曲がる、というわけです。

 

実験4:水以外も曲がるのか?

さて、水を曲げる実験の原理がわかったところで、他の液体も曲がるのか実験してみましょう!

水ではなく「イオン交換水」を使って同じ実験をします。イオン交換水は水道水からイオンなどの不純物を取り除いた水であり、電気を通しにくくなっています。上から流れるイオン交換水に(ー)風船を近づけると、曲がり…ました!!

次は、菜種油を使って実験します。菜種油の分子は、水分子のように分極しておらず、電気も通しにくいです。これはさすがに曲がらないでしょう!!流れる油に風船を近づけると…曲が……るじゃないですか!!

実際のサイエンスショーでは、この原理をゴリゴリ説明していきましたが、ちょっと難しすぎたかも…!ということで、ここではキーワードだけ!イオン交換水は「電気が通る=静電誘導が起きている」という解説との関係を調べる実験、菜種油は誘電分極という現象を調べる実験です。ぜひご自身の力でゴリゴリ調べてみてください。

 

さて、来月も「水」を取り上げます!同じ水でも全く違う面白い実験をいくつも検討中です!

 次回の「こうすけハカセの人気実験総選挙」は・・・

 令和6年1月20日(土曜日)午後1時からと、21日(日曜日)午後1時から (30〜40分程度)

 名古屋市科学館 天文館4階 サイエンスステージ (入退場自由、要観覧料)

 ※こうすけハカセの体調等により中止になる場合があります。

次回も、みなさまのご来館をお待ちしております。

  

学芸員 山田厚輔

 

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