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11月の人気実験総選挙

 

みなさん、こんにちは!!実験強化年度※真っ最中!!!!学芸員の山田こうすけです。

 

月イチ恒例サイエンスショー「こうすけハカセの人気実験総選挙※」を11月18日(土曜日)と19日(日曜日)に行いました。(※実験強化年度?人気実験総選挙?なにそれ??という方は学芸員NOW「5月の人気実験総選挙」の記事を読んでね!

今月のテーマは「魔法」です。みなさんも一度は、魔法に憧れたことがあるのではないでしょうか?というわけで、今月はそんな魔法をお伝えします・・・そんな訳ないですね!!失礼しました。今月のテーマは「化学反応」です。まるで魔法のように水溶液の色が変わってしまう実験があります。でも魔法ではなく、そこにはちゃんと化学があります。今回は色が変わる実験を軸に化学反応についてサイエンスショーを行いました。

 

さて、まずは気になる投票結果です。サイエンスショーをご覧いただいた皆様に投票いただき、最高4から最低1(4:楽しく勉強になった、3:まだ伸びしろあるね、2:もっとがんばって、1:ぜんぜんつまらない)の点数をつけていただきました。結果は以下の通りです。

 1日目 4:7票 3:10票 2:2票 1:0票 期待値:3.26

 2日目 4:51票 3:25票 2:11票 1:7票 期待値:3.28

 合計  4:58票 3:35票 2:13票 1:7票 期待値:3.27

合計で113名の方にご投票いただきました。ありがとうございました。

先月の「音」に比べると、少し合計期待値が下がりました。化学反応の実験はどうしても解説が難しくなりがちな上に、今回は全ての実験が「色が変わるだけ」なので、ちょっと見応えに欠けたかもしれません。ですが、真剣に実験や解説を見聞きしていただいていた方もたくさんいたように感じます。この結果を、今後のサイエンスショー開発にも活かしていきます!!

 

次に実験を紹介します。実験の様子は当館公式YouTubeチャンネルにて公開しますので、もう一度見たい方、見ていない方はぜひご覧ください。→ こちら(YouTubeサイトへ)

 

実験1:魔法で色変わり

まるで魔法のように、ボトルの中の水溶液をフタを開けずにひっくり返しただけで緑色から黄色へ、黄色から青色へ変える実験を行いました。原理はとても簡単で、ボトルに入っていたBTB溶液にクエン酸が溶けたことで中性(緑)から酸性(黄)へと性質(色)が変わったのです。また事前に酸性(黄)にしておいたBTB溶液に炭酸ナトリウムが溶けたことで酸性から中性(緑)そしてアルカリ性(青)へと変わっていったのです。ボトルのフタも開けずに薬品を溶かすには…事前にフタの裏に両面テープで薬品を貼っておき、ひっくり返せば…ということでした!!

 

実験2:溶かせばなんでも色が変わる?

先ほどのBTB溶液に「クエン酸・炭酸ナトリウム・塩化ナトリウム(塩)・スクロース(砂糖)」をそれぞれ溶かしてみて、BTB溶液の色がどう変わるのか確かめてみました。結果は、クエン酸:緑→黄、炭酸ナトリウム:緑→青、塩化ナトリウム(塩)とスクロース(砂糖)は変化なし(緑のまま)です。

色が変わった理由は、水素イオンと水酸化物イオンが出てくるか出てこないかの違いです。クエン酸を水に溶かすと水素イオンがクエン酸から電離します。これによってBTB溶液が緑から黄へ変わったのです。また炭酸ナトリウムを水に溶かすと、水と反応して水酸化物イオンが生まれます。これによってBTB溶液が緑から青へ変わったのです。塩化ナトリウムとスクロースは水に溶かしても水素イオンも水酸化物イオンも出てきません。つまり色は変わら…ない!というわけですね。

 

実験3:色が変わるほかの水溶液は?

ムラサキ色の水溶液でも実験してみましょう。クエン酸を入れると紫から赤ピンクへ、炭酸水素ナトリウム(重曹)を入れると紫から青へと色が変わりました。この水溶液は、ムラサキキャベツから作ったムラサキキャベツ水溶液です。この水溶液にはアントシアニンがたくさん含まれており、これにより中性の場合は紫色に見えていますが、水素イオンが増える、つまり酸性になるほど赤く、水酸化物イオンが増える、つまりアルカリ性になるほど青く変わっていきます。これはアントシアニンと各イオンが化学反応することでアントシアニンの構造が少し変わります。この少しの変化により色が変わって見えるのです。

 

実験4:ドライアイスで色変化

BTB溶液やムラサキキャベツ水溶液のような酸性・中性・アルカリ性で色が変わる溶液を指示薬と言います。その中からチモールブルー、メチルレッド、フェノールレッド、フェノールフタレインの4種類の溶液を準備し、アルカリ性にしてからドライアイスを入れる実験を最後に行いました。ドライアイス(二酸化炭素)が溶液の中でブクブクと溶けていくと、二酸化炭素が水と反応し水素イオンが発生します。つまり溶液はどんどんと酸性になっていくので、色が変わっていくということです。

 

さて、来月は「水」を取り上げようと実験を考え中!どんなショーになるのか楽しみです!!

 次回の「こうすけハカセの人気実験総選挙」は・・・

 令和5年12月16日(土曜日)午後1時からと、17日(日曜日)午後1時から (30〜40分程度)

 名古屋市科学館 天文館4階 サイエンスステージ (入退場自由、要観覧料)

 ※こうすけハカセの体調等により中止になる場合があります。

次回も、みなさまのご来館をお待ちしております。

  

学芸員 山田厚輔

 

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