名古屋市科学館

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20190106_部分日食

2019年1月6日に、部分日食が起こりました。

 

お正月のお休みの続き、冬休み最中の日曜日と日にち的にも時間帯的にも見やすい条件の日食でした。名古屋は薄雲越しでしたが、ほぼ全経過を見ていただくことができました。

 

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前回、名古屋で日食が起きたのは2016年3月9日でしたが、曇って見えませんでした。その前は2012年の金環日食。これをご記憶の方も多いと思います。今回は話題になりにくい部分日食でしたが、約4割も欠けるという結構大規模な部分日食でもありました。

 

さらに、2019年は日本で部分日食が2回見られるという珍しい年です。日本で見られる日食一覧はこちらです。両日共いい天気になってコンプリートできると良いですね。

 

27年ぶりのダブル日食! 

2019年は1992年以来、名古屋で1年に2回日食が見られる年です。次回は日本の大部分では2074年まで巡ってこないのです。南西諸島では2042年にダブルとなります。地球全体では年に2回は珍しくないのですが、どこにも出かけずにというのは珍しい現象なのです。ダブルでお見逃しなく!

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以下は、過去の情報を含みます。

 

 

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日食や月食は、太陽と地球と月が一直線に並んだ時に起きます。今回は、地球と太陽の間に月が入る日食です。

月食が起きた場合にはどこから見ても月に太陽光が当たらなくなっているので、広い地域で見ることができますが、日食は影の落ちる狭い地域にいる人しか見ることができません。それだけ貴重な現象です。

 

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左の図は太陽と地球と月が一直線に並んだ場合の図です。月の軌道が楕円なため、地球から遠くなる時と近くなる時があります。2009年の皆既日食は図上半分の「月が近い時」に起きる日食です。近い分、見かけ上大きく見え、太陽を全部隠すことができます。図下半分は2012年5月21日に名古屋で見られた金環日食です。こちらは「月が遠い時」に起きたので、見かけ上、月が小さく見え、太陽を全部隠せなかったのです。

 

今回の部分日食は地球全体としてどこにも一直線にならない。言い換えるとどこでも皆既日食や金環日食になっていない日食です。仲良く? 部分日食を楽しみましょう。日食が見られる地域はこちらです(NASA 英語)。

 

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2019年1月から7月まで の日食と月食

 

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2019年7月から12月まで の日食と月食

 

太陽系レベルでみると、今回の部分日食と7月の南米皆既日食が1セットになります。月が地球の周囲を回る面(白道面)が太陽の周囲を地球が回る面(黄道面) に対して傾いているため、太陽・月・地球はなかなか一直線に並びません。しかし図の上、下のあたりに地球が来ると、一直線に並び易くなり、日食や月食が半年弱の間隔で続けて起きます。そして半年弱後にまた日食や月食が起きるのです。

 

2019年は12月26日にもう一回、部分日食が日本から見られます。半年弱が2回、1年にうまく収まるのです。

  

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この「世界の日食の表」に今回の1月6日の部分日食は載っていませんね。つまり世界中どこででも、皆既や金環にならない部分日食ということです。クリックすると大きくなります。

部分日食の安全な観察方法

まず最初に絶対にやってはいけないことは、望遠鏡や双眼鏡を向けることです。火がつきます。もし覗いていたら失明。体の一部にあたったらやけど。とにかくやめましょう。

 

名古屋市科学館に来て見る

 名古屋市科学館では部分日食をみる会を開催します。入館者対象・自由参加。

 午前9時30分から午前11時30分。理工館6Fの太陽望遠鏡で安全に楽しみましょう。雨天曇天の場合は見られません。

 

名古屋市科学館のwebサイトで見る

 当日晴れたら、日食中継を行います。普段から太陽面の映像を中継しているこのサイトです。

 http://www.ncsm.city.nagoya.jp/astro/sun/

 

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日食メガネ:一番一般的な観察グッズです。ただしじっと見続けてはいけません。時々ちらっと見るようにしましょう。2012年や2009年に買ったものは傷んでいる場合があります。特に薄いフィルムやプラスチックでできているものです。太陽以外で眩しく強い光を通してみて、もし透き通るようでしたら買い替えましょう。名古屋市科学館ミュージアムショップで扱っています。

  

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ピンホール:小さな穴に太陽の光を通して、映してみましょう。映した像がその時の太陽の形になります。これなら長時間見ても安心ですし、簡単に撮影できます。写真A,B,Cの影の中に、部分日食の欠けた太陽が映っていますね。

  

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写真A:穴あきのお玉

 

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写真B:お塩の容器のフタ

 

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写真C: こしょうの容器のフタ お塩のフタに比べて、穴が小さい分、像がシャープになるが、暗くなります。いろいろためしてみましょう。

 

 穴の大きさによって、くっきり見える距離が変わります。また、穴の形は円形でなくても大丈夫です。小さな穴がたくさんできると楽しいです。麦わら帽子やレース素材などいろいろ試してみましょう。

 

  

 ●木漏れ日:自然が作り出すピンホール像が木漏れ日です。葉と葉の小さな隙間がピンホールになるのです。写真Fのような樹高の高い広葉樹の下がオススメです。事前(できれば同時間帯)に、木漏れ日の形が写真Gのようにきれいな円形になるところを探しておきましょう。

 

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写真D: 背の高い広葉樹の下には、いい木漏れ日ができています。

 

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 写真E: 丸いきれいな木漏れ日。これは太陽の丸い形が投影されているものです。日食の際にはこれが欠けて見えます。中央はサイズ比較用の500円玉。

 

 ●鏡で遠くに映す:日食の欠けた太陽を大勢で一度に見るのに適しているのが、この鏡を使った方法です。ピンホールの時と同じく、鏡の形は丸くなくても大丈夫です。遠くに映すほど、太陽の像は大きくなります。下の写真では、名古屋市科学館の球体に細く欠けた太陽が映っています。この写真の位置からは遠いですけど、近くで見上げると大きく投影されていました。できるだけ遠くから投影し、鏡の近くではなく、投影像の近くで見られるようにすると良いです。

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写真F;2012年の日食の際の鏡投影による太陽像。写真はクリックすると大きくなり、球体に投影された太陽像も確認できます。

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