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記事掲載: 2015年04月04日
記事更新: 2015年04月05日
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名古屋は小雨で月食を見ることは出来ませんでした。
宮城県松島町に展開した皆既月食観測チームからの映像を静止画中継しました。
中継映像はこちらから、ご覧ください。各映像はクリックすると大きくなります。
以下は昨日までの情報です。
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● 4月4日に皆既月食がおこります。月食の経過は上の図をご覧ください。土曜日の21時前後。みなさんにご覧いただくのに最高日取り、時間帯ですね。欠け始めから、月が地球の影に全部入る皆既まではかなり時間がありますから、晩御飯などをはさみながらゆったりご覧いただくと良いです。
● 月食は月が欠けていく現象です。普段からご覧の「月」を見るわけですから、特別な道具は要りません。もしオペラグラスや双眼鏡などをお持ちでしたら、より楽しいです。東の視界が開けたところで、だんだん欠けていく様子をお楽しみください。なお、月食の進行の時刻は日本のどこでも同じです。地域によって、地平線からの高さや方角は少々違いますが、おおまかな傾向は同じです。
● 皆既月食は予備知識を得た上でご覧いただくと感動も高まります。そこで4月のプラネタリウム一般投影のテーマは「ハッブル宇宙望遠鏡」ですが、月食の話も少し触れています。
● 日食と月食は、太陽と地球と月の位置関係で起きるという意味では、よく似た天文現象です。太陽と地球の間に月が入って、月の影が地球に落ちるのが日食。月が太陽の反対側に行って、地球の影に月が入るのが月食です。
日食は影の落ちた限られた地域でしか見ることができませんが、月食は月が影に入ってしまえば、たとえ宇宙空間から見ても月食です。そこで、月食になれば月に向いた側、地球の約半分の地域で月食を楽しむことができます。今回はリンク先のページの下の方の図で世界地図に色が付いていない地域で月食を見られます。 また月食の進行は世界中全く同じタイミングです。各地で時差がありますので、日本は宵、ハワイは夜中、北米は明け方となりますが、インターネットの中継で比較してみると面白いです。
● 以前の皆既月食の写真です。皆既中はこんなふうにきれいな赤い色になります。さらに月明かりが弱くなりますから、空が暗い郊外では、あ、暗くなったなぁという感じを掴んでいただけると思います。山奥では皆既とその前後の月が細い時間帯だけ、天の川が見えてきます。前回の皆既月食の写真でその記録もご覧いただけます。
● 皆既月食の月が赤く見えるのは、地球に大気があるからです。図のように地球の大気を通り抜けた光は、やや内側に回りこみ、影の中の月を照らします。
● この光は地球大気の中を長い距離通過してから通り抜けるので、その間に波長の短い紫や藍色、青といった色の光が、途中で散乱されてしまいます。これが青空です。その結果通り抜けてくる光は赤っぽくなります。夕日や朝日が赤く見えるのも同じ理由です。また地球は丸いので地球の大気も大きく見ると凸レンズ型になります。そこで光は曲げられて影の中に向かい皆既中の月を赤く照らすのです。
● この図は地球から見た地球の影と月を表しています。地球の影に対して、月は向かって右から入って行き、左に抜けていきます。影の中に全部月が入った状態を皆既月食、部分的に入った状態を部分月食と言います。今回の皆既月食は、このように、地球の影の上の方ぎりぎりを月が通り抜けますので、月の下側が暗くなるはずです。今回は本当にぎりぎりなので、上の方は少し白いままに見えるかもしれません。
● 部分月食の時の欠け方は、普段の月のくっきりとした欠け方と違って、欠け際がぼんやりとしています。これは地球の影の外側に半影というぼんやりした影がさらに広がっていることが原因です。月食の時、月から見ると地球が太陽を隠す日食になっています。この時、太陽が地球によって全部隠れて見えている地域は真っ暗になっていますが、半分とか、少ししか隠れていない地域もありますね。そこは薄明かりが当たっていて、地球から見ると半影となるのです。また、欠け際のカーブは地球の影の形です。そこで地球の方が月よりかなり大きいこともわかりますね。この大きさを測ると地球の大きさが求められます。ただし実際、月の距離では影がすぼまっていて、月の大きさの約3倍とやや小さめになっています(本当は4倍)。
● 太陽の周囲を回る地球の軌道に対して、月の軌道は傾いています。また、空間的に一直線に並ばないと、日食や月食にはなりません。ただし、図の上側と下側の位置では、たとえ軌道が傾いていても空間的に一直線になりますね。つまり半年ごとに月食や日食のチャンスがあるわけです。図上の昨年10月から半年。図下の状況が巡ってきました。そして運良く日本は、その両方で月食が見られる位置にあったのです。
● 前回、日本から見られた皆既月食は半年前の2014年10月8日。こうして半年後にすぐ見られるのはラッキーです。リンク先の月食一覧(1993-2030)のページで、名古屋の過去と未来の月食をご覧いただくと、半年間隔のめぐり合わせは2001年以来、14年ぶりなことがわかります。この次、日本から見られる皆既月食は2018年1月31日までありません。今回、晴れて多くの方にご覧いただけることを願っています。
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