名古屋市科学館

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皆既月食情報(2011 12 10)

12月10日夜に、皆既月食が見られました

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皆既月食  2011年12月10日 23時31分 

名古屋市科学館 20cm屈折 F10 EOS5DMarkII ISO400 2秒露出

 

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 中継画像からの抜粋

名古屋市科学館 20cm屈折 F10 EOS5DMarkII ISO400 露出は時刻によって異なります。

 

 

shadow_nagoya.jpg皆既中の月の変化

 名古屋市科学館 20cm屈折 F10 EOS5DMarkII ISO400 2秒露出

皆既中も月の明るさや明るい部分のバランスが変化していくことがわかります。灰色で示したのが地球の影の領域です。ここには地球の大気で曲げられた光が入り込んでいます。月面の反射でその色の分布がわかるわけです。中央ほど赤く、外側が明るくなっています。今回の月食では地球の影の下の方を通過したので、全体に下側(地球の影では外側)が明るく見えたわけです。赤くなる理由はこのページの下の方をご覧ください。

 

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 皆既中の月と星空 2011年12月10日 23時49分 皆既中は月明かりがなくなるため、星がよく見えるようになります。(今度、月明かりのない夜にぜひ見上げてみてください。)

名古屋市科学館屋上 17mmF4(27mm相当)  PENTAX k-r ISO800 10秒露出

 

2011年12月10日の皆既月食は、名古屋では前半は雲越しでしたが、皆既に入った頃からいい天気で、赤い月を楽しむことができました。

次回、名古屋で見やすい皆既月食は2014年10月です。過去や未来の月食の一覧はこちらです。

 

 

 11月の一般投影「地球の影と月の影」では、その様子をドームで再現し、月食の原理や楽しみ方を解説しました。
このページでは、プラネタリウムで解説に使用した解説図や、過去未来の月食一覧を公開しています。 

 

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今回の月食は、前半は雲が多かったですが、欠け始めから終わりまでを全部見られました。さらに土曜日の夜ですので翌日は日曜日でお休みの方が多いと思います。少々夜更かししても大丈夫ですね。 月食を見るのに、道具はなくても大丈夫です。満月のまばゆい月がどんどん欠けていくのを楽しめました。

 

 

 

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日食と月食は、太陽と地球と月の位置関係で起きるという意味では、よく似た天文現象です。太陽と地球の間に月が入って、月の影が地球に落ちるのが日食。月が太陽の反対側に行って、地球の影に月が入るのが月食です。

 

 

 

 

 

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この図は地球から見た地球の影と月を表しています。地球の影に対して、月は向かって右から入って行き、左に抜けていきます。影の中に全部月が入った状態を皆既月食、部分的に入った状態を部分月食と言います。

 

 

 

 

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部分月食の時の欠け方は、普段の月の欠け方と違って、欠け際がぼんやりとしています。これは地球に大気があるからです。さらに地球の影の外側に半影というぼんやりした影がさらに広がっていることも影響しています。また欠け際のカーブは地球の影です。そこで地球の方が月よりかなり大きいこともわかりますね。

 

 

 

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皆既月食の時の月は、真っ暗ではなくこのように暗い赤い色になります。この写真は名古屋で前回見られた2007年8月28日の皆既月食の時の写真です。

 

 

M_11-11IP.031.jpgこのように皆既月食の月が赤く見えるのも、地球に大気があるからです。図のように地球の大気を通り抜けた光は、やや内側に回りこみ、影の中の月を照らします。

 

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  この光は地球 大気の中を長い距離通過してから通り抜けるので、その間に波長の短い紫や藍色、青といった色の光は、途中で散乱されてしまいます。これが青空です。その結果通り抜けてくる光は赤っぽくなります。夕日や朝日が赤く見えるのも同じ理由です。また地球は丸いので地球の大気も大きく見ると凸レンズ型になります。そこで光は曲げられて影の中に向かうのです。

 

 

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太陽の周囲を回る地球の軌道に対して、月の軌道は傾いています。また、空間的に一直線に並ばないと、日食や月食にはなりません。ただし、図の上側と下側の位置では、たとえ軌道が傾いていても空間的に一直線になりますね。つまり半年ごとに月食や日食のチャンスがあるわけです。今回の月食から半年後の2012年5月21日には、金環日食が日本で見られます。金環日食情報のページはこちらです。

 

 

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