科学について調べる > 学芸員NOW > ロボカップジュニア・ジャパンオープン2024名古屋に出場しました
こんにちは、ロボットサッカー担当の山田吉孝です。
名古屋市科学館のロボットサッカーチームが、3月23日24日に開催されたロボットサッカーの全国大会に出場したので報告します。
参加した大会の正式名称は『ロボカップジュニア・ジャパンオープン2024名古屋』で、参加資格は、2024年7月1日時点で19才以下であることと、ノード大会(名古屋大会)とブロック大会(東海ブロック大会)を通して上位の成績を得て選抜されていることです。
ロボカップというのは、2050年にFIFAワールドカップの優勝チームにロボットチームが勝利することを目標としている、ロボット工学と人工知能を専門とする研究者たちによる国際的な競技大会です。そして、科学館ではそのジュニア部門に参加しています。
サッカー競技に使うロボットは、センサーを使って周りの状況を自分で判断して動く自律型ロボットです。人がリモコンなどで操作するものではありません。大会に参加した子どもたちのサッカーロボットも、自分でボールを見つけて、相手ゴールを判断してサッカーをします。ロボットが自分でサッカーできるように、子どもたちはロボットを設計し、制作し、プログラミングを行います。試合の場では、選手は試合開始の合図でスタートスイッチを押した後は何もすることができず、ロボットの動きをただ見守るばかりです。祈り続ける選手もいますけどね。なお、競技はロボット2台対2台でおこないます。
今回、3つのカテゴリーに科学館から8チームが出場したので、それぞれのチームを紹介しましょう。
【日本リーグ エントリーリーグ】
エントリーリーグは、名前から分かるように初心者クラスのリーグです。でも、初心者といっても、ノード大会・ブロック大会を勝ち上がってジャパンオープンに出場できるのは、科学館に3年ぐらい通ってロボット作りを続けてきた選手なので、そのレベルは初心者ではありません。ただ、ジャパンオープンのエントリーリーグに出場できるのは1回だけで、次回からは上のリーグに出場しなければなりません。そういう意味では初心者リーグと言えます。
なお、科学館からのチームの過去5回の成績は、2018年 準優勝、2019年 準優勝・3位、2020年コロナで中止、2021年 優勝、2022年 優勝、2023年 優勝、準優勝、3位と活躍しています。さて、全国から24チームが出場した今年はどうだったのでしょうか。
チーム 鳳凰(フェニックス)
中学2年生(出場の3月時点)2人のチームです。ノード大会、ブロック大会の両方で優勝して、大会にのぞみました。試合結果は、4勝1敗1分の好成績でみごと準優勝!
チーム Sirius
中学1年生と2年生のチームです。ノード大会、ブロック大会の両方で準優勝だったのですが、どちらの大会でも決勝戦で鳳凰に敗けているので、ジャパンでは鳳凰の上を行きたかったところです。今回は直接対決はなく、試合結果は4勝1敗1分と鳳凰と同じ成績でしたが、対戦相手の成績を照らし合わせるスイス式トーナメントのソルコフ値によって、僅かの差で鳳凰の1つ下の3位となりました。でも、3位ですからすごいことです。
チーム J.O.~序~
ロボット歴4年になる中学2年生2人のチームです。試合結果は、3勝2敗1分で7位と頑張りました!
チーム K,K
このチームは、初心者ロボットほぼそのままでこれだけの成績をあげたことがすごいです。科学館のロボット教室では、最初に全員同じキットのロボットを作ります。そのままではあまり強くないので、やがてオリジナルのロボットを作り始めます。機体も、モーターも電子回路もすべて違う部品で作り上げて、センサーもいっぱい搭載します。一緒に出場した上記の3チームはそのようなロボットです。しかし、このチームK.Kは、オリジナルほぼそのままのロボットで、プログラムに工夫を凝らして出場しました。勝つのは厳しいかもと思っていたのですが、試合結果は3勝3敗で14位と充分な好成績をとりました。
【ワールドリーグ ライトウェイト】
ライトウェイトのロボットは、子どものロボット大会という概念を大きく変えてしまいます。年齢制限が19才以下ですから、大学生や高専、あるいは高校のロボット部でガチでロボットに取り組んでいる全国の強豪がひしめき合っています。その中で上位入賞を果たすのは、簡単なことではありません。
2年前の大会では、科学館の大学生チームが優勝し、世界大会出場権を得て、タイで行われた世界大会で優勝するという偉業をなしています。そのロボットは、理工館3階の創造のひろばに展示してあるますから、科学館に来たら見てくださいね。
チーム ポリフォーニー
昨年、エントリーリーグで準優勝した中学2年生2人のチームです。試合結果は、4勝3敗で62チーム中22位、ライトウェイト挑戦1年目として立派な成績です。
チーム F•N•R
高校1年生2人と高校2年生1人の3人チームです。試合結果は、3勝3敗1分で26位と上位成績ではないものの、ロボット作りでは、ロボカップジュニアで初となるカーボンモノコック構造の機体を作り上げてきたことや独自のセンサユニットを制作したことなどによりスポンサーのマザック賞、ロボット学会賞を受賞しました。
チーム Sun
中学3年生の2人チームです。一昨年にエントリーリーグで優勝し、昨年今年とライトウェイト出場と、3年連続のジャパンオープン出場チームです。中学3年生ですと、受験のためにロボカップをお休みすることが多いのですが、彼らは受験も頑張りながらロボカップに挑戦していました。試合結果は、2勝4敗1分で42位でした。
【ワールドリーグ オープン】
オープンのロボットの大きな特徴は、その追いかけるボールにあります。エントリーリーグとライトウェイトは、ボールが赤外線で光っているので、ロボットに赤外線センサーを搭載してボールを見つけます。それに対してオープンのボールは、オレンジ色のゴルフボールです。ボール自身は光ってはいません。そのため、ロボットはボールを見つけるためにカメラを搭載して、画像認識をすることでボールを探します。ライトウェイトとは違った技術が必要になります。
チームTSUBAKI
大学生2人のチームで、1人は小学校5年生から科学館でロボット作りをしてきました。チームは、これまで他のチームは手掛けたことがないシステムに挑戦しました。ライダー(LIDAR)と呼ばれるセンシング技術を用いて、サッカーコートの中で自分の位置、相手チームのロボットの位置などをモニターしながら、ロボットを動かすというものです。LIDARは自動車の自動運転に応用されている技術ですが、それをロボカップジュニアに持ち込んだのは、このチームがおそらく初めてです。その技術が評価され、ブラザー工業株式会社賞を受賞しました。試合結果は、3勝3敗1分で11チーム中7位でした。
【名古屋市科学館でのサッカーロボットの取り組み】
科学館では毎月ロボット教室を開催し、ロボット作りに取り組む生徒を育てています。ロボット教室で自分のロボットを作ると、その後は科学館のロボット工房に通うことで、ロボットを強くするために機体とプログラムの両方の改良に取り組み、10月に開催されるロボカップジュニア・名古屋ノード大会出場を目指します。
【関連ホームページ】
ロボカップジュニアジャパン公式サイト
https://www.robocupjunior.jp/index.html
ロボカップジュニア・ジャパンオープン2024名古屋 競技結果
※こちらから出場チームのプレゼンテーションポスターを見ることができます。
https://www.robocupjunior.jp/2024nagoya_results.html
名古屋市科学館 ロボット教室
https://www.ncsm.city.nagoya.jp/visit/attraction/weekends/robot_ks/