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NEW標本「湖底でできたチャート層」

 

生命館2階「発見処」に「湖底でできたチャート層」の標本を展示しました!!!

 

チャートというと、一般に、深海底に放散虫(ガラス質の殻をもったプランクトン)の殻が積もってできたと考えられていますが、これは湖底に堆積した藻類が珪化してできたチャートです。
米国ユタ州に分布する約5千万年前(新生代新第三紀始新世)の地層「グリーンリバー層」の一部だというと、化石ファンなら聞いたことがあるでしょう。というのも、保存状態の良い淡水魚の化石が見つかることで有名な地層だからです。しかし、魚の化石が見つかるのは泥の層ではなく、薄いチャートとドロマイトの層が繰り返している部分に注目した若き研究者がいました。名古屋大学大学院生の隈隆成さんです。
彼は、この地層をくわしく調べ、チャート層の形成が約100年・200年・1000年周期で起きていることを解明しました。つまり、藻類の繁殖量を変化させたのは、太陽活動の周期的な変化である可能性が高いと考えました。

地層の縞模様は、過去の環境変動を知る手がかりなのです。
 

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写真左:湖底でできたチャート層(濃い部分)の標本(淡色部分はドロマイト、名古屋大学隈氏出展)

写真右:薄いチャート層が繰り返している地層の露頭(米国ユタ州「グリーンリバー層」撮影=名古屋大学 隈氏)

 

詳しくは名古屋大学のプレスリリースをご覧ください。

・名古屋大学プレスリリース:湖底でガラスの層が急速にできるメカニズムを解明

http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20191112_env1.pdf


・公表論文は下記(オープンアクセス、英語)
https://www.nature.com/articles/s41598-019-52862-7

Kuma, R. et al. (2019) Biogenically induced bedded chert formation in the alkaline palaeo-lake of the Green River Formation. Scientific Reports,9, 16448.

  

学芸員  西本 昌司

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