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中秋の名月_2019

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「中秋の名月_2019」 2019年9月13日21時0分   名古屋市東区にて
Canon PowerShot SX710 HS  750mm相当からトリミング F6.9 1/60  ISO800 
場所によりますが名古屋市中心部では今年も薄雲越しの「おぼろ」月でした。

 

以下は過去の情報・表現も含みます

 

今年(2019年)の中秋の名月は9月13日(金)。名古屋では17時56分に月が昇ってきました。この時刻は理想的な地平線から昇ってくる計算上の時刻。遠くにちょっと山があるだけで、見え始める時刻は遅くなります。さらに一見晴れているように見えても、地平線付近は霞んでいて、少し上に昇らないと見えてこない時も多いですから、すこし気長にお待ちください。低いところの月は、夕日や朝日が赤くなるのと同じく、大気による効果で赤くなります。ほのかに赤い月がだんだん上るにつれて白くまばゆくなっていきます。が、、、名古屋市中心部の 夜半前はかなり雲が多くて見えても「おぼろ月」でした。

 

なお、月が昇る時刻は地域によってすこしづつ違います。国立天文台の今日のこよみページで、地域をメニューで変えて(初期値は東京です)ご確認下さい。 

 

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お月見の日はこの表のように毎年変わります。毎年日付がばらばらなのは、旧暦の8月15日にお月見を行うからです。旧暦と新暦はもともと出発点=正月が1ヶ月ずれており、さらに毎年11日ほどずれます。月が12回回ると約354日。1年365日より短いのです。そこで、19年に7回ほどのペースで1年を13ヶ月にして調整するため、この表のようにばらばらになるのです。

  

9月13日の月の出は17時56分です。翌14日は18時25分。月がためらいがちに出てくるという意味で、十六夜と書いて「いざよいの月」と呼ばれます。そして15日は18時53分となります。年間平均では月の出は毎日50分ほど遅くなるのですが、この頃は30分程度となります。

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 本家中国では、旧暦8月15日だけがお月見でしたが、日本では次の十五夜の少し前、旧暦9月13日にもお月見をする風習が付け加わりました。「後の月」とか「十三夜」と言います。2019年の後の月は10月11日。十五夜2日前なので、ちょっと欠けた月を愛でるという風流なお月見です。お供えするもの=収穫時期で、中秋の名月を芋名月、後の月を栗名月とか豆名月と呼ぶ場合もあります。

 

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中秋の名月は旧暦の8月15日の月という決め事なので、かならずしも満月とは限りません。それどころか満月とずれるほうが多いくらいです。月と地球と太陽が一直線にならぶのが満月で、最大2日ずれる場合があります。今年の場合は、翌日、9月14日の13時33分が天文学上の満月となります。ただしほとんど丸いことには変わりありませんし、中秋の名月は旧暦の8月15日という決め事ですから、もともと少々ずれても気にしてなかったということなのです。

 

このずれ・遅れの理由の一つ目は、月の軌道が楕円だからです。新月の月が、地球のちょうど反対側になる満月の位置に行くまでに、遠回りや近回りが生じます。新月の瞬間から満月までの時間を日単位で表すと、13.9日〜15.6日とずいぶん幅があるのです。この平均は14.8日となりますが、さらに下の図のように、日にち単位で区切っていくために、名月の翌日や翌々日の満月が多くなるのです。

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理由の2つ目は、日単位で区切ることです。上の図は旧暦の日付と満月までの日数の関係を表したものです。もし新月が旧暦1日の午前0時に起き、14.8日で満月になったとすると中秋の名月である旧暦8月15日が満月となります。しかし旧暦1日のお昼頃や24時近くに新月になったとすると、旧暦16日が満月となります。さらに13.9日〜15.6日の幅を考えると、薄青の平行四辺形の範囲が満月のエリアとなります。すると、名月の翌日が満月になるほうが多いことがわかります。さらに前日になる場合は、満月までの日数が最短で、さらに新月が旧暦1日の0時ごろに起きた場合だけとなり、非常にまれなことがわかります。中秋の名月の前日(旧暦8月14日)が満月になる実例は、国立天文台によると600年で2回(1942年,2127年)しか起きないのです。このあたりは、国立天文台の「必ずしも満月ならず」、が詳しいです。

 

昇ったばかりの月がとても大きく見えるときがありますね。これは地平線付近の月や太陽が、大きく見えるように心が働くのです。今年の中秋の名月はいわゆる「スーパームーン」ではないので話題になってはいませんが、月が大きく見える理由の大部分はこの心の働き=錯視です。

 詳しくはこちら「月が大きく見えるわけ_2019」をお読みください。 

  

みなさんの地域のお月見団子はどんな形ですか?

 名古屋のお月見団子はこんな形の3色です。ちょっと変わってますよね。残念ながら名古屋市内であっても、デパートなどでは東京や京都風のお団子しか売っていない場合が多いです。ぜひ地元オリジナルのお団子をお楽しみください。

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来年も良い名月が見られまますように…

 

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「中秋の名月_2018」 2018年9月24日18時3分   名古屋市科学館屋上にて
Canon PowerShot SX710 HS  600mm相当 F6.3 1/20  ISO800
昇ったばかりの月は、地球の大気で青系統の色が散らされて黄色っぽく見えます。

 

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「中秋の名月_2018」 2018年9月24日19時12分   名古屋市科学館屋上にて
Canon PowerShot SX710 HS  750mm相当からトリミング F6.9 1/160  ISO800 
高く昇ると、白いまばゆい月になります。薄雲越しの「おぼろ」月です。

 

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「中秋の名月_2017」 2017 10 4 17:40  DMC-LX9 128mm相当 自動露出 -2/3EV ISO125

  

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