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月が大きく見えるわけ

この記事は2013年6月23日に向けて書いたものです。文中に今宵などの表現が出てきますが、2013年6月23日のこととしてお読み下さい。

 

moon_map.jpg 今日(6/23)は満月。薄雲はかかるかもしれませんが、なんとか、まんまるの月が見えると良いですね。左の図は肉眼やオペラグラス、双眼鏡などで見えそうな地形をまとめたものです。月が南の空に昇った時に上下関係が肉眼で見たままになるようにしてあります。

 なお、月が昇る時刻は地域によってすこしづつ違います。国立天文台の今日のこよみページで、地域をメニューで変えて(初期値は東京です)ご確認下さい。 本ページ中では名古屋での時刻や角度で進めますが、基本は同じです。

  

 大きな宇宙空間として考えると、地球から見た満月は太陽の反対の方向にあります。そこで太陽が沈むと、反対方向の満月は入れ替わりに昇ってくきます。反対というのは、昇る(沈む)方角にも影響します。6月21日は夏至。このごろは太陽が最も北に沈みます。そこで反対の位置の満月はこのごろ最も南から昇ります(月の軌道の傾きでさらに微妙な差はありますが)。6月23日の日の入りは19時10分に真西から約30°北。そして6月23日の満月は18時51分に真東から約25°南から昇ってきます。ただし昇ったばかりは遠くの山やビルなどですぐには見えないものです。そこで見えてくる頃には斜めに昇るせいで、さらに南で見えてくるということになります。太陽も月も南の空で最も高く昇ります。夏至2日後の6月23日の太陽は78°もの高さに昇りますが、月は半分以下の35°にしか昇りません。これは真冬の太陽とほぼ同じです。そこで、今日(6/23)の月は、南東から昇り真夜中に真南へと低空飛行的な軌道を通る、ベランダや窓からも見やすい高さ(低さ)の月となります。

 

m.018-crop.jpg 一方、私たち人間が、月や太陽を肉眼で見た場合、低空にある月や太陽を大きく感じます。これは複数の心理学的な効果(錯視的な)がかさなったもので、何倍も大きく感じているという研究もあります。遠くの景色と見比べて大きく感じたり、空の大きさとの対比、見上げる角度による依存などさまざまな理由があわさっていますが、いずれにしろ昇ったばかりの太陽や月、沈みゆく太陽や月を私たちは大きく感じるようにできているようです。また低空にあるときも、昇ったばかりほどではないですが、この効果はあります。

 

 これはとっても簡単な方法で確認できます。上の図は腕をいっぱいに伸ばした時の手の形と満月のみかけの大きさとの比較です。「みなさんの記憶にある月はどんな大きさでしたか?」とお聞きすると、ほとんどの方が2や3を選択されます。いかがですか?

 そして、本当の月でためしてみると、どんなに大きく見えるときも、腕をいっぱいに伸ばした時の小指ですっぽり隠れてしまって、信じられない! びっくり! となるのです。そしてまた腕を下ろして普通に月をご覧になると、再びじわっと大きく見えるのです。理屈を知ってても知らなくてもこの効果は同じ。感動の瞬間です。この大きくなり具合(感動具合?)は、その時の月の地平線からの高度、景色と月との関係、見る側の心理的状況などで変わりますが、小さくなることはないです。この月が大きく見える現象をぜひ楽しんでいただきたいと思うのです。

 この現象は月(や太陽)の地平拡大と呼ばれます。昇ったばかりの月や、低空にあるときの月にはこの効果が大きく影響し、その影響の程度は周囲や見る方の状況にもよりますが、この心理学的な効果で、私たちは低空の月を見るとき、普段から何倍も大きく感じているのです。 

 ただしこの効果は人の心によって起こるものです。カメラなどは感動しません。うわー、大きな月! と思って写真を撮ると思ったほど大きくは写りません。いろいろなところで見かける大きな月の写真は望遠レンズで写したものです。

 

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 さらに2013年6月23日の月は、楕円軌道で地球に月が近い時に満月になります。これはスーパームーンと呼ばれています。月と地球との距離は月の軌道が楕円なため、35万6400~40万6700kmの間で変化します。今宵の夕刻の月の距離は35.7万kmです。ただし月は一ヶ月でこの楕円軌道上を周回しており、この程度の距離にはまさに毎月近づいたり遠ざかったりしています。それと満月が重なるのが珍しいというのですが、一周が30日として、30回(=30ヶ月)満月があれば、そのいずれかの夜は、距離が近い時の満月となります。このようなとても大雑把な見積もりでも3-4年に一度は近い時の満月があるわけで、あまりスーパーではありませんね。上の図は地球・月の中心間の距離を正しい比率で描いてあります。

 さて、その距離の変化から計算して、今宵の月は最も小さく見える(遠い)月に比べて、1.14倍大きくなっています。これはもし、遠近の月が同時に並んでいれば肉眼でもわかるでしょうけど、実際には月はひとつ。そこで、写真に撮ったりして、別の時の月と比べることでやっと分かる程度の違いとなります。

IMG_1969_m.JPG 身近なものでこの大きさの比率をみてみましょう。500円玉と10円玉をご用意下さい。500円玉が最も近い時の月、10円玉が最も遠い時の月の大きさ比率となります。 10円玉を500円玉の上に重ねてみて下さい。スーパームーン効果による大きさの違いはこれだけです。それに対して、前述の心理学的効果がいかに大きいかは、腕をいっぱいに伸ばした時の小指と月との比較で体験していただけると思います。

 

 

 

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 このように、今宵の月は、心理学的効果(ほとんど)と、スーパームーン効果(少し)で大きく見えます。雲間からでも見えるといいですね。

 前出のように、スーパームーン効果だけで大きく見えるわけではなく、普段から低空の月は大きく見えています。さらに今宵は、今日は大きいですよっ! と聞いて見上げるという心理的効果もかなりあるでしょう。いや、普段と変わらないですよ、なんて言いにくいものです。

 いずれにしろ、本物の月は素敵です。これをきっかけに、時折、月を愛でていただけたらうれしいです。

  

 

300mm望遠レンズ(相当)で撮影した昇ったばかりの赤い月

Canon EOS Kiss-D 200mm F2.8 1/6秒 ISO100
2005年9月18日 18:36 距離 36.2万km

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