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木星と土星が並びます_2020

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㊍㊏ この秋、木星と土星が並んで夕暮れの南西の空に見えています。この天文現象、実は実はとてもレア(まれ)なのです。ぜひこのページをお読みいただき、この地味なレアさを楽しんでいただけたらと思います。

 

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㊍㊏ 12月21日に、ライブ中継を行います! 17時15分〜17時45分 ㊍㊏

㊍㊏ 左バナーの公式YouTubeチャンネルからご覧ください! ㊍㊏

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㊍㊏ 上図右側は星空の中での木星と土星の位置変化です。いずれも地球軌道から真横(黄道上)にいるため、位置が重なってしまうので、ターンの印を付けてみました。木星は右から左へ移動してきて5/15に今度は向きを変えて左から右へ動きます。そして9/13にもう一度ターンして、再び左に向かって移動しています。一方、土星は同じく右から左に移動してきて5/11にターンして右向きに、そして9月の26日にもう一度ターンして再び左に向かっています。この左に向かう動きは、太陽を12年で一周する木星のほうが、30年で一周の土星よりも速いので、木星が右から左へ追いついて12/22に並び、それをすぎると木星と土星が左右逆転となるのです。左右の離角の推移を図にしたのが上図の左側です。11月、12月とどんどん木星が土星に右から追いついていく様子を読み取ることができます。

 

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㊍㊏ この様子を遠くから見たのが上の図です。木星が内側から土星を追い越そうとしているのですね。地球と火星も同じ位置関係になっているので、もし金星人がいて(いません)この様子を眺めていたら、地球火星接近!ということになります。ちなみに地球から火星は今とても明るく見えています。その解説はこちらのページで御覧ください。

 

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㊍㊏ 11月19日前後、12月17日前後には細い月が近くに来ます。なによりもきれいですし木星と土星を特定するのにもチャンスです。上はこれからの12月17日の図、左は先日11月19日の図です。いい天気でしたら17時半頃、南西の空をご覧ください。地平線から腕をいっぱいに伸ばしたときの握りこぶし2個分です。視界の開けたところを探しておきましょう。

 

㊍㊏ 木星が土星に内側から追いつくのにはなんと20年もかかります。そのイメージを動画にしました。音はなく、最初は1年ごとに止め、4年後からは延々と合計60周地球がまわり、木星は5周、土星は2周まわりほぼ元の位置に戻ります。この“60年ごと”は、この記事の下のほうの「すごい接近」の周期に関係してきます。

  

JS_conj.003.jpeg㊍㊏ というわけで、まず、木星と土星が並んで見えるというだけで、20年に一度というレアさだということをお話しました。また、並んで見えるときにちょうど地球から太陽も重なってしまっていて見られないという場合もあります。そして今回はもっとレアなことがあるのです。それがその近さです。

 

㊍㊏ 12月21日の夕刻には、木星と土星がまさに重ならんばかりに並びます。離角は0.06' もしくは、1/10° のほうがイメージがつかみやすいでしょうか? 月がすっぽり収まってみえる倍率(40倍程度)に設定した望遠鏡で見た感じが上の図です。図を拡大するとわかりますが、土星が斜め上、木星が斜め下です。

 

JS_conj.004.jpeg㊍㊏ 名古屋市科学館のプラネタリウムでは、9月から毎日毎回の投影でこの現象を先取り再現してご覧いただいています。実は、そこまでの精度で惑星の位置を長期間に渡って再現できる光学式プラネタリウムは少なかったりします。木星と土星の会合の再現と解説は、名古屋市科学館のツァイスIX型ならではなのです。

 

 

㊍㊏ 並ぶだけでも20年に一度。さらに、みかけ上のくっつき具合まで考えるとかなりのレア度になります。300年以上ぶりなんていう計算もできなくはありません。しかし今回の接近も、1.0の視力がある方で、無限遠にピントが合う状態(眼鏡コンタクトでもOK)であれば、見分けられる角度です。その中での微小な角度の中での差異です。とにかく今回がレアなのは間違いないです。

 

㊍㊏ この木星と土星のみかけの接近(会合)を長い期間(200年)チェックしていくと、1°以上(月2つ分以上)離れてすれ違う場合と、月の直径の半分以下になる場合が明確にわかれます。後者をすごい会合、前者を普通の会合としましょう。まず、今回はすごい会合です。20年前の会合は太陽に重なって見えませんでしたので、前回の普通の会合は、40年前の1980年。前回のすごい会合は1961年、次回の普通の会合は2040年。次回のすごい会合は2080年! となります。それぞれの木星と土星と地球の位置関係と離角をそれぞれ図にしました。

 

 

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㊍㊏ 木星と土星の軌道の傾きの関係から、下図の向かって右下側で並ぶと離れる角度が小さくなります。その位置に戻るのは木星の一周12年と土星の一周30年の最小公倍数の60年。なのですごい会合は60年周期で起こります。そのすごい会合の中での少々の大小を比較すればとっても長い年月ぶりとかも言えないことはないですが、現実味がありません。木星土星の会合は、20年周期。そしてすごい会合は60年周期。これでも十分に今回の会合が見逃せないことがわかりますね。

  

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㊍㊏ 向かって右下ですごい会合が起きるのは、木星と土星の軌道面の傾きによります。土星は黄道面(太陽系の基準面)に対して2.5°、木星は1.3°傾いた軌道を持っています。また、その高い低いの関係が大雑把に同じ方が高く、反対が低くなっていて、土星と木星の両方が黄道面から高いときや低いときに離角が大きくなる傾向があります。もし傾きの方向がぴったり合っていたら、2.5 - 1.3 = 1.2°離れるわけです。いくら傾いているといっても一周に2回は黄道面を横切るときがあります。下から上に横切る場所を昇交点、上から下に横切る場所を降交点と呼びます。この付近であれば木星も土星もほぼ同じ方向にいるわけですから、離角は小さくなります。そこですごい会合は大まかに「離角小」と書いた時計の5時の方向か11時の方向で起きることになります。ただし木星が土星に追いつくのは、公転周期12年と20年の関係から3方向に限られ、その一つ、右下の方向で起きる会合がすごい会合になるのです。

  

㊍㊏㊍㊏㊍㊏ 1980-81年には計3回並ぶ(三連会合)というこれはまたまた別の意味で超レアな会合でした。BC7年の5月27日、10月6日、12月1日の三連会合はイエス・キリスト生誕のベツレヘムの星との関わりがあるとも考えられているほどの現象です。名古屋市科学館のプラネタリウムではクリスマスの投影や12月の一般投影でクリスマスを題材にするときに再現してきました。今年は夜間投影でその様子を再現します。夜間投影「クリスマスの夜」のお申し込みはこちらです。

 

㊍㊏ こんなにレアな現象ですが、まずは肉眼で楽しめるのがいいですね。夕暮れ時の南西の空に、街中でも余裕で見える明るい星が並ぶのです。動画は名古屋市科学館星座早見アプリ(PC版)での木星土星の会合です。iOSやAndroidでも使える無料アプリですので、ぜひお手元に持ってお楽しみください。月と惑星が並ぶときもきれいですので要チェックです。そして12月になっていくと、だんだん南西の低い空になっていきます。そこで建物や山が邪魔しないかなど、見当をつけてみてください。望遠鏡をお持ちで、見てみようという方は、望遠鏡を置く場所から望遠鏡の筒の高さで見えるかどうかのチェックです。

 

㊍㊏ 衛星を従えた木星や、土星の環は、5cm程度の小型の望遠鏡で十分に楽しめます。最も近い様子を実際に見ることができるのは、12月21日の日の入り後。暗くなる17時半の木星と土星の地平高度は15°。地平線までしっかり晴れていてほしいです。その前後の日もかなり近くて楽しいです。

㊍㊏ そして、お近くの方はぜひ当日までに名古屋市科学館プラネタリウムまでお越しください。基本、どの回の投影もこの話題を解説しています。事前にプラネタリウムで見て、当日本物で、というコースがおすすめです。

 

㊍㊏ 市民観望会は? と思われるかもしれません。もちろん考えました。でも低空での現象で、多くの方に見ていただこうとするうちに沈んでしまうのです。さらに街中にある当館からはビルなどで大望遠鏡で捉えつづけること自体も難しいのです。そこでバーチャルでの観望会ができないかの準備をしています。開催できそうな場合はこのページでお知らせします。



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