名古屋市科学館

TOP(科学について調べる) > 天文情報 > 天文ニュース > 新年・朔日(ついたち)、3日・三日月

新年・朔日(ついたち)、3日・三日月

m.024-001.jpg

 

● あけましておめでとうございます。2014年(平成26年)の新年は、ちょっと興味深いめぐり合わせとなります。

 

● 現在の日本の暦は明治6年から使われているもので、太陽の周りを地球が回る周期(公転周期)に合わせたグレゴリオ暦です。この太陽暦は月の満ち欠けとは無縁で、季節の歩みに合わせたカレンダーとなっています。ただし言葉の歴史は旧暦の時代からですので、長く続いた太陰太陽暦(月の満ち欠けに合わせ、地球の公転で補正する)の時代の言葉が残っています。

 

● 1月1日と書いて「いちがつ ついたち」と読みます。「ついたち」は漢字をそのままでは出てこないですよね。これは月が出発するという意味の「つきたち」という表現からきたものです。旧暦では新月の日をその月の始めの日としました。漢字では朔日とも書きます。これを「ついたち」と読み、「1日」と書いた時の読みにもなったのです。

 

● そして3日目に細い月が見えてくることが多いので、細い月のことを三日月というようになりました。今では10日に見えても20日に見えても、三日月といいますね。文字で見るとちょっと不思議ですが、こんなわけなのです。

  

● 2014年(平成26年)の1月1日はちょうど新月にあたります。つまり元日の「ついたち」が朔日。そして3日の日が晴れて、細い月が南西の空に見えたら、まさに「三日月」。夕焼けの中にきれいな「三日月」が見えると良いですね。まだ空が明るい時間帯がきれいです。三日月に限らず、月は携帯やコンパクトカメラでも写せますから、ぜひ向けてみてください。

 

P1070914_合成.jpg

● 2014年1月3日17時半頃の三日月です。低空の雲間に金星もかろうじて見えましたので、同縮尺で撮影しました。クリックしておもいっきり大きくして見ると、金星も三日月状になっているのがわかります。

 

● 細い月の時には、太陽に照らされている側だけではなく、反対側がうっすら見えることがあります。これを地球照と言います。この現象は太陽に照らされた地球の反射光が月面に当たり、それが跳ね返ってきて見えるものです。肉眼では細い月と地球照が同時に見えるのですが、写真では露出を変えて別々に撮影しないとうまく見えてきません。

 

● なお旧暦と新暦とは1ヶ月ほどずれていますから、新暦の2014年1月1日は旧暦では前年の12月1日となり、新年ではないですが、それは気にしないでおくとして…。

 

● この新年朔日はめずらしいめぐり合わせです。というのは月の満ち欠けの周期が29.5日ですから、ざっと30年に一回となるわけですね。1900年〜2099年の範囲で1月1日が新月である(あった)年を調べてみました。

 

 1911年 1957年 1976年 1995年 2014年 2033年 2071年 2090年

 
● 今回は1995年から19年後。平均より短い間隔で巡ってきたことになりますね。この19年はメトン周期と呼ばれる日付と月相が一致する周期です。ただし完全にぴったりではないので、毎回19年ごとではないですが、それより短い周期で巡ってくることはありません。19年ぶりのお正月の「三日月」。晴れてた地域のみなさん。きれいに見えてよかったですね。

 

▲ページ先頭へ