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記事掲載: 2020年05月21日
記事更新: 2025年03月17日
●2020年6月21日に部分日食が起きました。名古屋は残念ながらの曇天。雲越しにかろうじて欠けた太陽を見ることができました。
●当日は名古屋市科学館公式Youtubeチャンネルでのライブ「バーチャル部分日食をみる会」を行いました。こちらから録画をご覧いただけます。
以下は過去の情報を含みます。
●この日はちょうど夏至。一年で最も高く昇った太陽が西に傾く頃、欠けていくというめぐり合わせになります。今回の日食はほぼ半分欠けるというりっぱなものです。そしてなによりも、この次に名古屋で日食が見られるのはなんと10年後の2030年6月1日。今回、ぜひ晴れてほしいですね。日本で見られる(見られた)日食一覧(1992〜2042)に過去と未来の日食がまとめてあります。
●日食や月食は、太陽と地球と月が一直線に並んだ時に起きます。そして日食は地球と太陽の間に月が入る現象です。
月食が起きた場合にはどこから見ても月に太陽光が当たらなくなっているので、広い地域で見ることができますが、日食は影の落ちる狭い地域にいる人しか見ることができません。それだけ貴重な現象でもあります。
●左の図は太陽と地球と月が一直線に並んだ場合の図です。月の軌道が楕円なため、地球から遠くなる時と近くなる時があります。2009年に南西諸島などで見られた皆既日食は図上半分の「月が近い時」に起きる日食でした。近い分、月が見かけ上大きく見え、太陽を全部隠してあたりは暗くなります。図下半分は2012年に名古屋でも見られた「月が遠い時」の金環日食です。あのときは暗く感じなかったですね。6月21日の日食はさらに欠け方の少ない部分日食ですので、あたりは暗くはなりません。
上の図の金環日食帯と書かれた細長い地域、アフリカ付近では朝、アラビア半島では午前、インド付近では昼、中国、台湾では午後に金環日食が見られます。現地からの中継がたのしみですね。
●まず最初に絶対にやってはいけないことは、望遠鏡や双眼鏡を向けることです。火がつきます。もし覗いていたら失明。体の一部にあたったらやけど。とにかくやめましょう。
●夕方になるにつれて太陽が低くなり、一見、これなら大丈夫と思ってしまいがちです。これが一番危険。望遠鏡や双眼鏡は光を集めるので、大変なことになります。日食メガネもちゃんと使ってください。せっかくの楽しい日食で一生のケガを負ってしまってはなんの意味もありません。
●名古屋市科学館に当日来てご覧いただくことはできません。
名古屋市科学館屋上の観望会会場からは、建物の構造上運悪くこの日食を観察できません。また新型コロナウイルス感染症対策として他の場所でイベントを行うこともできません。当日までに日食メガネなどを入手いただくか、下の方で紹介している安全な方法でお楽しみください。安全なネット中継でお楽しみいただくのもおすすめです。
●名古屋市科学館・プラネタリウムの6月の一般投影は「太陽に迫る」です。今回の部分日食もドーム内で先取り再現します。6月2日からの再開館については、こちらを御覧ください。
●名古屋市科学館のwebサイトで見る
当日晴れたら、名古屋市科学館公式YouTubeチャンネルで日食中継を行いたいと思います。詳細はこのページでご案内いたします。
●日食メガネ:一番一般的な観察グッズです。ただし長い時間見続けてはいけません。時々ちらっと見るようにしましょう。2009年や2012年に買ったものは傷んでいる場合があります。特に薄いフィルムや薄いプラスチックでできているものが傷つきやすい傾向があります。太陽以外で眩しく強い光を通してみて、もし透き通るようでしたら買い替えましょう。小さな穴が空いてしまっている場合も危険ですので買い替えましょう。名古屋市科学館ミュージアムショップでは学校現場で使われている安価で丈夫な日食メガネを扱っています。
●ピンホール:小さな穴に太陽の光を通して、映してみましょう。映した像がその時の太陽の形になります。これなら長時間見ても安心ですし、簡単に撮影できます。写真A,B,Cの影の中に、部分日食の欠けた太陽が映っていますね。
写真A:穴あきのお玉
写真B:お塩の容器のフタ
写真C: こしょうの容器のフタ お塩のフタに比べて、穴が小さい分、像がシャープになるが、暗くなります。いろいろためしてみましょう。
●穴の大きさによって、くっきり見える距離が変わります。また、穴の形は円形でなくても大丈夫です。小さな穴がたくさんできると楽しいです。麦わら帽子やレース素材などいろいろ試してみましょう。
●木漏れ日:自然が作り出すピンホール像が木漏れ日です。葉と葉の小さな隙間がピンホールになるのです。写真Dのような樹高の高い広葉樹の下がオススメです。事前(できれば同時間帯)に、木漏れ日の形が写真Eのようにきれいな円形になるところを探しておきましょう。今回は西に傾いた太陽での日食ですから、地面よりも西向きの壁に木漏れ日が映っているところを探すのもいいでしょう。
写真D: 背の高い広葉樹の下には、いい木漏れ日ができています。
写真E: 丸いきれいな木漏れ日。これは太陽の丸い形が投影されているものです。日食の際にはこれが欠けて見えます。中央はサイズ比較用の500円玉。
●鏡で遠くに映す:日食の欠けた太陽を大勢で一度に見るのに適しているのが、この鏡を使った方法です。ピンホールの時と同じく、鏡の形は丸くなくても大丈夫です。遠くに映すほど、太陽の像は大きくなります。下の写真では、名古屋市科学館の球体に細く欠けた太陽が映っています。この写真の位置からは遠いですけど、近くで見上げると大きく投影されていました。できるだけ遠くから投影し、鏡の近くではなく、投影像の近くで見られるようにすると良いです。
写真F;2012年の日食の際の鏡投影による太陽像。写真はクリックすると大きくなり、球体に投影された太陽像も確認できます。
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