TOP(科学について調べる) > 天文情報 > 天文ニュース > 2025年9月8日皆既月食
記事掲載: 2025年08月23日
記事更新: 2025年08月24日
● 2025年9月8日(月)の未明から日の出前にかけて、皆既月食がおこります。夜中の1時半ごろに部分食が始まり、2時30分から皆既です。見逃さないよう、前日7日(日)のカレンダーにメモしておいてくださいね。上の図のように、月食が進むにつれて月は西の低空に傾いていきます。南西〜西の視界が開けた場所を事前に探しておきましょう。
● 月食は月が欠けていく現象です。普段からご覧の「月」を見るわけですから、特別な道具は要りません。もしオペラグラスや双眼鏡などをお持ちでしたら、よりラクにみることができます。今回の月食は南西から西の空低くですので、その方向の視界が開けたところを探しておきましょう。月食自体の進行の時刻は日本のどこでも同じですが、地域によって、地平線からの高さや方角、日の出の時刻が少し違います。今回の月食は、日本のほぼ全国で部分食を終えてから月が沈みます。ただ、日本の西の地域ほど月の入りが遅いので、月食が見られる高さは少し高くなります。日の出も西の地域ほど遅くなるため、部分食の最後の方は西の地域の方がいくらか見やすくなりますが、その差はわずかです。
● 日食と月食は、太陽と地球と月の位置関係で起きるという意味では、よく似た天文現象です。太陽と地球の間に月が入って、月の影が地球に落ちるのが日食。月が太陽と反対側に行って、地球の影に月が入るのが月食です。
● 今回の皆既月食は地球の影の中央やや下を月が通過します。地球の影に深く入るので1時間23分もの長い皆既時間があります。
● その間は月明かりが弱くなりますから、空が暗い郊外や山奥では、明るい「月夜」から「闇夜」にかわります。山奥などでは皆既の間だけ天の川が見えるようになります。今回は昇ってきた満月が欠けていき、元に戻っていきますから、月夜→闇夜→月夜 になります。2014年の皆既月食ではその様子を捉えることができました。こちらに動画があります。
● 皆既月食の月が赤く見えるのは、地球に大気があるからです。図のように地球の大気を通り抜けた光は、やや内側に回りこみ影の中の月を照らします。
● この光は地球大気の中を長い距離通過してから通り抜けるので、その間に波長の短い紫や藍色、青といった色の光が、途中で散乱されてしまいます。この光が青空を作り、散乱されずに通り抜けてくる光は赤っぽくなります。夕日や朝日が赤く見えるのも同じ理由です。また地球は丸いので、地球の大気も大きく見ると凸レンズ型になります。そのため、光は曲げられて影の中に向かい皆既中の月を赤く照らすのです。
● 部分月食の月の欠けぎわの丸みは、地球の丸みです。ついつい皆既や食の最大の時間だけに目が行きがちですが、その前後の欠けている月で、私たちは地球が丸いことを実感できるのです。また、月食の時の欠け方は、普段の月のくっきりとした欠け方と違って、欠けぎわがぼんやりとしています。これは地球の影の外側に半影というぼんやりした影がさらに広がっていることが原因です。月食の時、月から見ると地球が太陽を隠す日食になります。この時、太陽が地球によって全部隠れている地域は真っ暗になりますが、半分とか、少ししか隠れていない地域もありますね。そこは薄明かりが当たっていて、地球から見ると半影となるのです。また、欠けぎわのカーブは地球の影の形です。地球の影の方が月よりかなり大きいこともわかりますね。この大きさを測ると地球の大きさが求められます。ただし実際は、月の距離では影がすぼまっているので、地球の影の直径は月の約3倍と本当の地球より小さめになっています(本当は4倍)。
● 太陽と地球と月が空間的に一直線に並ぶと日食や月食になります。太陽の周囲を回る地球の軌道に対して、月の軌道は傾いているので、毎回一直線になれるわけではありません。ただし、この図の上側と下側の位置では、たとえ軌道が傾いていても空間的に一直線になりますね。つまり半年ごとに月食や日食のチャンスがあるわけです。2025年9月8日の皆既月食(図下)の半年後、2026年3月3日にも皆既月食が起こります(図上)。この次回の皆既月食は、日本だと夕方から22時すぎの見やすい時間帯です。こちらもお楽しみに。
စ 前回、名古屋から見えた部分月食は2年前の2023年10月29日でした。写真などはこちらです。
● 前回、名古屋から見えた皆既月食は3年前の2022年11月8日でした。写真などはこちらです。
リンク先の月食一覧(1993-2030)のページでは、さらに長い期間の名古屋の過去と未来の月食をご覧いただけます。