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化石がどのように発見され、発掘され、研究されるのか。化石が地層に埋没した状態をそのまま残したこの産状レプリカを通して、古生物や化石に関する研究の面白さを知っていただくことをねらいとした展示です。
「謎の奇獣」とも呼ばれる絶滅した海生哺乳類パレオパラドキシア。その全身骨格が地層に埋没したままの状態をレプリカとして残した標本です。この標本は、背骨がつながり左の肋骨が生きていた時の状態を残して並んでいます。また、周囲からはサメの歯などの化石が見つかっており、死後海底に沈んでから砂に埋まるまでの様子を時系列に沿って推測することが可能です。多くの骨が保存良く残されていることから、生きていた時の詳しい姿勢などの復元も進められています。
この化石が見つかったのは、瑞浪層群宿洞層というおよそ1700万年〜1600万年前の新生代中新世の地層です。他にも貝類やフジツボ、ウニ、サンゴ、サメなどの化石が含まれる地層で、暖かく浅い海で堆積しました。パレオパラドキシアを含む束柱目はおよそ1200万年前に絶滅したグループで、現在生きている生物の中では、サイの仲間を含む奇蹄目に比較的近いと考えられています。とはいえ同じような生物は現在生きていないため、わからないことも多いのです。
【化石の発見と発掘】
2022年6月5日、岐阜県瑞浪市釜戸町を流れる土岐川河岸において、束柱目パレオパラドキシア科の化石が発見されました。発見したのは地域住民の方で、川の清掃中のことだったそうです。6月9日・10日にはショベルカーなどの重機を用いての発掘作業が行われ、周りの岩石ごと化石を掘り起こしました。
発掘された化石は博物館にて丁寧なクリーニング作業が行われ、骨格が地層に埋没した状態を保存するために産状レプリカが制作されました。
【標本からわかること】
標本の研究が進むと、多くのことがわかってきました。
例えば、取り出した頭骨に残っていた臼歯を見ると、そのすり減り具合から年をとった個体(人間で例えると60才以上)だったことがわかりました。さらに、骨格の周辺にはサメの歯が多く見つかっており、骨にはサメがかんだあとが残っています。サメにかまれたにもかかわらずこれだけ骨の保存状態が良いので、死んだ後に食べられたと推定することができます。他にも、一緒に産出した貝化石に含まれるストロンチウムという微量元素を分析したところ、この標本の個体が1650万年前に生きていたことが判明するなど、当時の環境やパレオパラドキシアが一体どのような生物だったのかの復元といった研究が現在も進められています。
骨を調べること、一緒に見つかった化石を調べること、骨に付着していた石のかたまりを調べること、どのように化石が残っていたかを調べること、それぞれにわかることがあります。実物の化石はもちろん、レプリカとして残される標本にも、研究するうえで非常に大きな意味があるのです。
参考資料
瑞浪市化石博物館研究報告(2024年)第50巻,第3号(特別号)瑞浪市化石博物館
パレオパラドキシアが見たみずなみのうみべ 〜化石から学ぶ瑞浪が海だったころ〜(2023年)瑞浪市化石博物館
協力
瑞浪市化石博物館 安藤佑介氏
株式会社西尾製作所