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時計

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展示作品の狙い

時計は最も身近な機械のひとつです。最初、ゼンマイを利用した機械式の時計が考案され、その後、水晶発振を利用したクォーツ式時計が誕生しました。今日の時計はほとんどクォーツ式のものになっています。
展示品では、時を刻む機械としての原理を理解していただくため、理解しやすい機械式時計をあえて重視し、そのメカニズムの紹介に力をいれていますが、この解説では、クォーツ式時計の原理もあわせて紹介しようと思います。


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知識プラスワン

<機械式時計>
動力はゼンマイです。巻かれたゼンマイが元の大きさに復元する力を動力源としています。このときの復元力は、最初は大きく、元の大きさに近づくにつれて小さくなっていきます。もし、このゼンマイに針を直結すると、針は一定のはやさで動きません。そこで、エネルギーを一定のはやさで開放するしくみが必要になってきます。その役割を果たすのが、テンプ、アンクル、ガンギ車からなる機構です(図1)。
テンプは一定の周期で左右に規則正しく運動します。このテンプの動きに合わせてアンクルが一定の周期でガンギ車を不連続に、しかし一定のタイミングで回転させたり、停止させたりします。このガンギ車の動きがたくさんの歯車に伝わり、秒針、分針、時針を動かします。機械式時計のメカニズムの急所は、アンクルとガンギ車にあるといってもよいでしょう。
<クォーツ式時計>
巧妙に作られた機械式時計ですが、欠点がいくつかありました。ゼンマイを動力とする限り、何度も巻いてエネルギーを溜めなければなりません。週に一度、あるいは月に一度はゼンマイを巻くことが強いられました。さらに、時間の狂いも少なくありません。毎日使う身近なものであるために、エネルギー補給と時間調整はわずらわしいものとなっていました。
こうした欠点を補うために考案されたのがクォーツ式時計です。これは、水晶に電流を与えると、極めて正確な数値で振動する、つまり伸び縮みする性質を利用しています(図2)。これをピエゾ効果と呼んでいます。
正確な針の運動、すなわち時計のくるいの少なさはこれで担保されました。もうひとつのエネルギー補給については、電池を利用することで解決されました。水晶に流す電流はごく少量なために、電池の消費は非常に小さいのです。こうして、クォーツ式時計は機械式時計がもっていたエネルギー補給の頻度の低減と正確さの二つの問題を解決しました。



【 参考資料 】

協力
リコーエレメックス株式会社
参考資料
機械式時計解体新書(2001) 本間誠二(大泉書店)
文 学芸員 馬渕浩一

 

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