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展示ガイド

ながれとうず

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展示作品の狙い

地表の水は蒸発して水蒸気となり、上昇し上空で雲をつくります。雲はやがて雨(水)となって地上にもどってきます。雨は川となって海に注ぎます。水は地球上で循環しているのです。「水のひろば」はこの大きな水の循環と水の性質について、さまざまな実験を通して知識を深めていただくためのものです。
ここでは「かわのステージ」にある2つの展示を解説します。

知識プラスワン

<ながれとうず>
水などの流体の流れのなかに物体を置くと、物体の後方に渦の列ができます。この渦のことを発見者の名をとってカルマン渦と呼んでいます(図1)。
この展示品は、水の流れの中に水の流れを妨げる物体を置き、後方にできる渦のようすを観察する実験装置です。物体の形によって、渦のようすがかなり異なります。そのあたりをじっくり観察してください。
展示品のような小さな流れと物体では2列目、3列目の渦を確認することは難しいようです。しかし、カルマン渦は、自然現象の中では無視できない大きな影響を及ぼします。たとえば、1940年にアメリカ・ワシントン州でタコマ橋が崩壊する大きな事故が起きました。これは、断面がH型をしている橋に強い横風があたり、カルマン渦が発生したことで共振現象が起きて崩落したと分析されています。
<みずのシーソー>
ししおどしを知っていますか? ししおどしをモチーフにした展示がこの「みずのシーソー」です。
ししおどしとは、日本庭園にある水を利用した音を発するしかけのことです。もともと、農作物に被害を与える鳥獣を威嚇するしかけを総称してししおどしと呼んでおり、かかしもその一つなのですが、とくに添水(そうず)を指すことが一般的です。
添水は、竹の筒でできています。中央付近に支点を設け、一端を開放して、竹の筒の中に水を注いでいきます。水が入り始めた段階では、重心が支点よりも底の方にありますが、水がいっぱいになってくると、重心が支点よりも口の方に移動し、竹の筒が傾いて水を排出して空になります。すると竹の筒は元の傾きに戻ります。このとき、竹の筒が石などを叩いて音を出すのです。京都の詩仙堂にある添水は有名です。
<いろいろなすいしゃ>
ここでは「さかのぼりすいしゃ」、「うわがけすいしゃ」、「なかがけすいしゃ」、「したがけすいしゃ」の4つを展示しています。水の流れを利用したモニュメントとしてとらえてください。
<トルネードタンク>
水がたくさん入ったタンクの底の栓を抜くと、水が穴に吸い込まれ、おおきなうずができます。この展示品はその現象をみることができるようになっています。
渦の流れは穴に近い部分では速い回転に、水面付近ではゆっくりとした回転になっていることがわかります(図2)。難しくいうと、これは、水が内部方向に移動するにつれてその回転速度が角運動量を保存するために増加するためです。渦の中の粒子の瞬間の速さはその渦の半径に反比例しています。

 


【 参考資料 】

参考資料
トコトンやさしい流体力学の本(2009)久保田浪之介(日刊工業新聞社)
やさしい流体の力学(1985)松尾一泰(森北出版)
文 学芸員 馬渕浩一

 

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