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展示ガイド

野依良治

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展示作品の狙い

 2001年、野依良治は、ウィリアム・ノールズ、バリー・シャープレスとともに「キラル触媒による不斉(ふせい)反応の研究」でノーベル化学賞を受賞しました。
 私たちの身の回りには、私たちの左手と右手のように「鏡写し」の関係になっているものがたくさんあります。それは分子の世界でも同じであり、同じ原子組成かつ結合順列なのに左と右の違いにより、性質が異なる物質もあるのです。
 この左と右の分子を作り分ける反応のことを不斉合成反応と言います。野依良治は、左と右を区別する鋳型(いがた)分子と反応を促進させる金属を組み合わせたキラル触媒を用いることでこれを実現しました。
 現在では、医薬品や香料など様々な分野の化学合成にキラル触媒が活用されています。

知識プラスワン

【受賞紹介展示】
 野依良治と受賞内容を紹介する受賞者紹介展示では、野依良治の生い立ちや学生時代の出来事、また、研究者人生を紹介しています。特にカウンターに展示している3つのエピソードは、野依良治の人生に大いに影響を与えたものであり、様々な経験や思考を学ぶことができます。
 この展示を製作する中で、実際に本人から様々な聞き取りを行いましたが、どのエピソードを語る時もその言葉には情熱が宿っていました。展示を通して、野依良治の熱い研究者魂を感じ取ってもらえたら嬉しく思います。

【左と右の世界】
 野依良治の受賞研究の出発点は、左と右の作り分けでした。そこで、「世の中にある鏡写しの関係にあるもの」に着目し、様々な左と右を集めてみました。身の回りの製品、生物、さらには分子と様々な左と右を観察して下さい。その上で、どうして左と右があるのかを考えてみて下さい。また、これら以外にも様々な左と右を探し、どうして違いがあるのかを考えてみてほしいです。

【化学合成ゲーム】
 化学合成は、化学の分野で最も重要な事象のひとつです。不斉合成反応だけではなく、多くのノーベル化学賞が様々な化学合成に対して送られています。
 実際の化学合成には、様々な要素がありますが、この展示では難しいことを考えず原子や分子に見立てたボールを弾くことで楽しく化学合成を体験することができます。また、ゲームのレベルが上がると触媒反応も出現します。触媒とは、それ自身は化学反応によって変化しないが、目的の反応を促進させる効果を持つ物質です。楽しみながら化学合成の世界を体験してみて下さい。

 


【 参考資料 】

オンリーワンに生きるー野依良治教授・ノーベル賞への道ー(2002) 読売新聞中部社会部(中央公論新社)
研究はみずみずしく(2002) 野依良治(名古屋大学出版会)
事実は真実の敵なり(2011) 野依良治(日本経済新聞出版社)
新版自然界における左と右(1992) Martin Gardner(紀伊国屋書店)
触媒化学 第2版(2009) 御園生誠・斎藤泰和(丸善出版)

 

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