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ゲノムの迷路

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展示作品の狙い

 ゲノムとは、ある生物を作るために必要な全ての遺伝情報を示す言葉です。展示品「ゲノムの迷路」は、自分自身のゲノムに興味をもってもらいたくて作りました。ヒトの遺伝子の数は約2万2千といわれていますが、ここでは性、ABO血液型、肥満遺伝子、酔っぱらい遺伝子について紹介しています。

 迷路のたね明かしをすると・・・
右下の図は「ゲノムの迷路」を上から見た平面図です。アルファベットの記号の所のパネルは、次のような内容になっています。

タイトルパネル:タイトル文字のバックの塩基配列は遺伝子ABO、ALDH2、ADRB3のデータです。

A:男か女かを決める。性染色体の組み合わせがXXなら女、XYなら男になります。Y染色体上に「SRY」(精巣決定遺伝因子)があります。

BとC:第9番染色体にあるABO血液型の遺伝子「ABO」。塩基配列でいうと5カ所の違いで赤血球の表面の糖タンパク質が異なりABOの血液型が決まります。

D:第8番染色体にある肥満遺伝子「ADRB3(β3アドレナリン受容体遺伝子)」。脂肪代謝のスイッチの役割をする遺伝子です。

E:遺伝要因と環境要因の図

F:鏡 鏡に映る自分の姿を見て 遺伝子のせい?環境のせい? を考えてみて。

G:第12番染色体にある酔っぱらい遺伝子「ALDH2(アルデヒド脱水素酵素遺伝子)」。飲んだお酒(アルコール)が分解されてできるアルデヒドを酸化する酵素の遺伝子。ひとつの塩基の変異で酵素が不活性型になります。

H:ビールジョッキ(ボタンを押すとALDH2の塩基配列が現れます。)

I:赤くなった私(近づくと赤いライトがつき酔っぱらった顔にみえます。)

JとKとL:パネル「ゲノムってなに/生命の設計図/親からもらう宝物/細胞—核—染色体—DNAの関係」

M:ビデオ「ゲノムってなに」 「特定研究領域ゲノム」の研究者が製作したビデオ「ゲノム科学」の極一部を再編集したものです。


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知識プラスワン

 ゲノムの遺伝情報とは、具体的には遺伝子の物質DNAの中の4種類の塩基の並び方のことです。4種類の塩基はその英語名のイニシャルからa 、t、c、gと表されます。遺伝子の情報は、塩基の並び方、例えば・・・aatggcccatgtgc・・・というように表されます。文章に似ていますね。この塩基(文字)がひとつでもなくなったり、付け加えられたり、他の文字と入れ替わったり「変異」すると、遺伝子のはたらきが変わってしまいます。文章でも文字が入れ替われば、意味が変わってくるのと同じです。
この展示品で紹介した遺伝子のはたらきも、この塩基配列のちょっとした違いが影響しています。これからの医療は、個人ひとりひとりの遺伝子の配列を読み取って、各自の体質にあった治療していくようになるといわれています。


 DNAについては他の展示品でも紹介していますから、そちらもいっしょに見てくださいね。


【 参考資料 】

協力:  日本自転車振興会
参考資料 遺伝子の地図帳(1998)田辺功・山内豊明(西村書店)
     POPな遺伝子(1995)大石正道(同文書院)
     絵でわかるゲノム・遺伝子DNA(2005)中込弥男(講談社サイエンティフィック)
著者:  学芸員 尾坂知江子

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