名古屋市科学館

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展示ガイド

胎児の成長

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展示作品の狙い

 お母さんのおなかにいる赤ちゃんの約38週間の様子を10の時期に分け模型で展示し、赤ちゃんの成長過程とそれぞれの時期の特徴を紹介します。
 赤ちゃんがお母さんのおなかにいるときは「胎児」とよばれますが、ものすごい勢いでからだの仕組みができあがっていきます。
 お母さんの体の縦の断面も表され、赤ちゃんだけでなく大きくなっていくおなかのようすも見ることができます。※1989年の名古屋市科学館「生命館」開館のときに設置された模型を再利用しています。
[旧展示との違い]各時期の解説を名古屋市で現在使用されている資料なども参考に修正し、「妊娠週数」に加えて「受精後の週数」も記しました。胎盤を表すイラストも以前はありませんでしたが、今回の改装で追加しています。お母さんの体と子宮の断面のイラストは旧展示の形を写しとって作り直し、「受精から出産まで」の周囲に以前あったシュヴァイツアーの言葉を残しました。

知識プラスワン

関係する内容は、ゾーン「そだつ・うけつぐ・かわる」の他の展示品や解説でも紹介しています。

【妊娠週数と受精後の週数】
 「妊娠○○週」というのは「受精後○○週」というのとは違います。受精そのものは自覚症状がなく、受精卵の中でも着床にいたらないものもあるため、妊娠によって月経が止まることを利用して受精の前の月経(最終月経といいます)の初日を0週0日として、基準に数えるわけです。月経は通常排卵の2週間ほど前になるので、この数え方だと「妊娠0週から1週」といった場合多くは排卵前、すなわち厳密にいうと妊娠していないということになります。
 現在、小学校の理科や保健体育では「受精後の週数」を使って学習していますので、「妊娠週数」だけではわかりにくくなるため、展示では両方を記入しています。

【胎盤(たいばん)】
 受精卵が着床して、分裂を続けると、「胎盤」というしくみを作り出します。胎盤は、母体から栄養と酸素をもらい、不要なものと二酸化炭素を母体にわたすしくみです。
 胎盤はへそのおの先に胎児(初期は「胚」といいます)自身の細胞が分裂してできた膜と、母体の組織が共同で作り上げます。胎児がつくった膜は木の枝のように分かれ、たくさんのとげのような形になり、その中にはへそのおを通ってのびた血管がひろがっています。そのとげの外側を母体の膜が包み込み、2つの膜の間に母体からの血液が流れ出てガスや物質のやりとりをしています。胎盤のはたらきは他にもあり、妊娠の維持に重要な役割をはたすホルモンも作り出しています。

【大きくなる】
 受精卵の大きさは直径がおよそ0.1mm程度で、肉眼でやっと見えるくらいのものです。これが子宮内で成長して、出産のころには身長約50cm、体重約3000gまでになります。
※大きさや体重は個人差があります。

 


【 参考資料 】

Newton別冊 体の科学知識 体質編 (2018年) ニュートンプレス 
人体のふしぎな話 365 (2014年) 坂井建雄 (ナツメ社)
改訂版 フォトサイエンス生物図録 (2007年)  数研出版
解剖生理を面白く学ぶ (2008年) 増田敦子(医学芸術社)
新版 たのしい理科 5年 (2015年) 有馬朗人ほか (大日本図書)
みえる生命誕生 受胎・妊娠・出産 (2013年) SARAH BREWERほか/著 池ノ上克/監訳 前原澄子/監訳 (南江堂)
知識ゼロからの身体の不思議入門 (2010年)上野 正彦 (幻冬舎)
マンガでわかる 人体のしくみ (2012年)坂井 建雄 (監修), 沢田 麻間 (画), サイドランチ (画)(池田書店)
新しいほけん 3・4(2011年)戸田芳雄ほか(東京書籍)
マンガでわかる 人体のしくみ(2012年)坂井 建雄 (監修), 沢田 麻間 (画), サイドランチ (画) (池田書店)
目でみる妊娠と出産 (Visual series) (2013年)馬場 一憲 (編集)文光堂 
日本産婦人科学会 各時期-超音波正常初見
なごや妊娠・出産・子育て応援ブックWITH HAPPY (2020年)名古屋市子ども青少年局
両親学級配布資料 出産を待つあなたへ(2018年)名古屋市子ども青少年局
母子健康手帳(令和2年9月印刷)(2020年)名古屋市子ども青少年局
日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書(妊婦・授乳婦)(2019年)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586574.pdf(厚生労働省)
子どもの保健 1 子どもの健康と安全を守るために(2013年)遠藤 郁夫 (編集),曽根 眞理枝 (編集),三宅 捷太 (編集),稲坂 惠 (ほか執筆) 学建書院
「妊娠・出産革命の最前線」Quark1995.5
レナルト・ニルソンの世界 誕生の神秘(1992年)ラーシュ・ハンベルイェル(小学館)
生命誕生の神秘 Newton 1997.3 12-41
驚異の小宇宙・人体 1 生命誕生(1989年)NHK取材班(日本放送協会)
からだの科学 増刊 女性の病気(1994年)雨森良彦(日本評論社)

文:学芸員 堀内智子

 

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