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世界のくらし

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展示作品の狙い

 この展示品では、40度(暑い部屋)と氷点下近くまで下がった温度(寒い部屋)の中で、ビデオを見たり、布や金属に触って、乾燥地帯や極北地域を、ほんの少し疑似体験をし、風土とくらしについて考えてもらいます。ビデオでは、例えば飲み水はどうやって得ているのか、どんな服を着ているのか、など紀行番組風に紹介しています。また、世界の気候区分と、地域ごとの特徴のあるすまいについても解説しています。人々は、身近にある土やわら、ある地方では氷までも使って、快適な住いを工夫してきたのです。

知識プラスワン

 私たち人類は、するどい牙を持つわけでもなく、分厚い毛皮で覆われているわけでもありません。しかし、このひよわな、"裸のサル"人類は、大きな脳を使って、世界中に広がっていきました。
 気候や地形、土壌、水などのさまざまな自然環境の中で、人類は寒さや雨などから身を守る方法を考え出し、一方、自然環境から食物、着る物、住いの材料などを探しだし、利用してきました。農業や工業などの産業も自然環境と深く関わって発展してきました。都市に住む私たちは、自然と無縁に生活しているように思えまずが、地球という大きな自然環境の中で生きていることに変りはないのです。
 植物の分布は、その地域の風土をよく反映しています。どんなところにどんな植物が生育するかは、年間の気温や降水量、土壌の性質、日照時間などを基本として決まってきます。そこで、植物の分布に注目して気候区分図を作成したのが、ドイツの気候学者ウラジミール・ケッペン(1846年から1940年)です。ケッペンは、まず樹木が生える気候(樹木気候)か、生えない気候(無樹木気候)かで世界を大別し、次に月平切気温によって分けていきました。この時目安とした温度は、18度、10度、-3度でした。18度は、人間の活動にもっとも適当な気温であり、10度では樹木が育つか否か、0度では水が凍り、-3度は根雪になるかならないかの境の気温といわれています。このようにケッペンの気候区分図は、気象現象そのものをとらえたものではありませんが、植物と人間の活動が密接であることから、よく使われる気候図です。さて、最近東京では、九州や四国に多く見られるシロバナタンポポが以前より多く見られるそうです。これは、ヒートアイランド現象(都市の気温が周囲より高くなる現象)で東京が暖かくなってきたことを反映しているのではないかといわれています。植物たちはしっかり気温や降水量・湿度の変化を感じているようです。

 


【 参考資料 】

□参考資料
生気象学の事典(1992年)日本生気象学会編 朝倉書店
環境白書(1994年)環境庁編 大蔵省印刷局
理科年表読本 「気象と気候」(1980年)高橋浩一郎ら著 丸善
特別企画展示図録「東京で見る都市化と自然」(1994年)国立科学博物館附属自然教育園
□著者 学芸員 尾坂知江子

 

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