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展示ガイド

サイクルでサイクル

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展示作品の狙い

 動物も植物も、地球上のすべての生き物は、太陽の光なしでは生きていけません。太陽はすべての生き物のエネルギーのみなもとなのです。
 私たちが食べるお米も、太陽の光によって育てられています。この展示品では、太陽の光のかわりに、あなたが自転車をこいでエネルギーを与えます。さて、米一粒ができるまでに、いったいどれくらいのエネルギーが必要なのでしょうか。

知識プラスワン

□太陽エネルギー
 地球は、太陽からおよそ1億5千万キロのところにあります。太陽が宇宙空間へ放出するエネルギーは、毎秒3.8かける10の26乗ジュールです。これではピンときませんね。
 たとえば、地球上の水全部を、大きなやかんに入れたとして、これだけのエネルギーがあれば、10秒たらずでふっとうしてしまいます。地球が太陽から受け取るエネルギーは、このうち22億分の1しかありませんが、それでもそのエネルギーで、風が起こり雨や雪が降り、植物をはじめ生き物たちが生きていけるのです。
□太陽エネルギーと米
 さて、日本人の食事もいろいろ種類が増えてきましたが、やはり主食はごはんですね。ごはんの元である米は、植物である稲の実です。植物は、二酸化炭素と水から、太陽エネルギーを使って光合成を行います。それによって、自分のための栄養分と酸素を作り出すことができるのです。その栄養分は、葉や茎だけではなく、次の世代のための実にもたくわえられることになります。それでは、米を作るため、稲はどれくらいの太陽エネルギーを使っているのでしょうか?ちょっと計算してみましょう。
□米1粒を作るのに必要なエネルギー
 田んぼ1反(約1000m2)から10俵(600kg)のお米が取れるとします。稲の苗が植えられるのが6月はじめ、収穫は10月おわりだとすると、稲が芽を出して刈り取られるまでに5ケ月かかることになります。その5ケ月間、1日平均12時間太陽に照らされたとすると、朝昼夕で太陽の角度が違うことを考慮して、この田んぼでは、全部で次のエネルギーを受け取ることになります(式1)。

(式1) 1.37[kW/m2] x 24/π x 1000[m2] x 150[日] = 1.57 x 106[kWh]

 式1の最初の1.37[kW/m2]の項は、地球の表面1平方メートルが毎秒どれくらい太陽エネルギーを受け取るのかをあらわし、太陽定数と呼ばれています。これだけの太陽エネルギーを利用して、600kgの米がとれることになります。米1粒は、おおよそ0.02gですから、式1の太陽エネルギーをこれで割ってやると、米1粒にどれくらいの太陽エネルギーが利用されているのかが計算できます(式2)。

(式2) 1.57 x 106[kWh] / ( 600[kg] / 0.02[g] ) = 52.33[Wh]

 展示品の自転車は、がんばれば、およそ120Wで60秒間こぐことができるようになっていますので、得られるエネルギーは、2Whです(式3)。このエネルギーで、いくつの米粒が得られるかは式4で、0.038粒となります。一生懸命こいでもあまり米粒は取れませんね。茶碗1杯のご飯は4000粒ほどですから、「サイクルでサイクル」を10万回以上繰り返さないとご飯は茶碗に一杯になりません。太陽エネルギーってすごいですね。

(式3) 120[W] x 60[秒] / 3600[秒/時] = 2[Wh]
(式4) 2[Wh] / 52.33[Wh] = 0.038[粒]

 実際には、これほど簡単なわけはありません。毎日太陽が照らすわけではありませんし、米のできぐあいは太陽の日差しだけではなく、雨や気温などによっても大きく変わりますから、上の計算は、1つの目安であり、実験だと思ってください。しかし、米1粒ができるのに、こんなにエネルギーが必要なのです。

 


【 参考資料 】

□著者 学芸員 小塩哲朗

 

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