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展示ガイド

生命地球

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展示作品の狙い

 自然界には物質の循環が成り立っています。直径60cmのガラス球の中に、ミニ地球とも言える、小さな自然をつくり、生命館2階のシンボル的な展示としています。

知識プラスワン

【密封容器の中の生物はいきていけるのか?】
 この丸い水槽には、植物、魚、エビ、貝、バクテリアを入れて、密封しています。えさも与えていません。ただ、上から光を当てているだけです。果たして、中の生き物は生き続けていけるのでしょうか。このことを実際に実験しているのが、この展示です。水槽にふたをしてから何日経ったかは表示されていますので確認してください。
 植物は、空気中の二酸化炭素と土中の栄養分、光のエネルギーを使って有機物をつくり、酸素を放出します(光合成)。動物は、植物を食べて栄養分とし、植物が作った酸素を吸ってエネルギーをつくり、二酸化炭素を放出します。動物が死ぬとバクテリアがこれを分解して、土に変えます。こうした、生き物同士のつながりが、この小さな水槽の中でも成り立っているのです。植物、魚、エビ、貝、バクテリアの数が適当であれば、これらの生き物はずっと生きているでしょう。果たして、この実験うまくいくでしょうか?次回科学館に来たら、見てみて下さい。
【人間が入った密封容器】
 密封容器に人間が入って実験することはできるでしょうか。こんな実験が1991年から1993年の2年間、実際にアメリカのアリゾナ州で行われました。この実験は、「バイオスフェアII(第二の地球生物圏という意味)」と名付けられ、話題になりましたので、こ存じの方も多いかもしれません。面積12000平方メートルの巨大な密封容器(?)をつくり、科学者が8人入って、中の環境にどのような変化が起きるのかを調べたのです。
 この実験結果で目立ったのは、酸素の減少が著しかったことです。最初21%あった酸素は、16ヶ月で14%にまで減少しました。酸素が減少した原因としては、生物の呼吸だけでなく、土壌中の有機物の酸化に使われたためと考えられています。土の影響も意外に大きいのです。

 


【 参考資料 】

参考資料
「ミニ地球」で酸素が減ったのは?、子供の科学Vol.57 No.5(1994年)P.37
未来への箱船ハイテク「バイオスフェア」、ニュートンVol.14 No.1(1994年)P.102-111
閉鎖環境から地球の物資循環を探る、日経サイエンスVol.22 No.5(1992年)P.14-25
文 学芸員 西本昌司 絵 浅井美保

 

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