名古屋市科学館

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単体サンゴ化石

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展示作品の狙い

 生体に過去の地球のリズムが残されていることを知っていただくことを目的としています。

知識プラスワン

 単体サンゴは、群体となって珊瑚礁をつくるサンゴと違い、その名の通り単体で生息しています。この単体サンゴには年輪もありますが、日輪もあります(写真2)。細かい線が見られますが、これが日輪です。ウエルズという学者は1963年、この日輪を数えて、3億5000万年前には、1年が約400日あったことを発見しました。その後、二枚貝やストロマトライトで同様な研究がなされ、様々な時代の1年の日数が明らかにされました。その結果、1年の日数は、時代とともに次第に少なくなっていることがわかったのです(図)。地球の公転周期はほとんど一定であったと考えられているので、地球の自転速度が遅くなっていることになります。つまり、地球の自転にブレーキがかかっているのです。
 ブレーキをかけているのは、月です。月の引力による潮汐(潮の満ち引き)で海水が動くと、海底との間に摩擦がおこり、ブレーキがかかるのです。月が地球の自転にブレーキをかけて、そのことが生物の体に刻まれているとは、何とも不思議ではありませんか。
 いささか強引な見方をすれば、地球の自転は実線のような変化をしたように見えないでしょうか。こう見ると、推定されている過去の大陸分布と同調するのです。これは、大陸が1つに集まっているときには自転が急速に遅くなり、大陸がばらばらに分裂している時には、自転は遅くなりにくいということです。このことは実はいろいろな現象が絡み合うので、簡単に解説することは難しいのですが、次のように理解してください。大陸が分裂し始めると、海が内陸に入り込み、浅い海が広がります。潮流による摩擦が大きい浅い海が増えれば、ブレーキがかかりやすいということです。

 


【 参考資料 】

協力
東海財団
参考資料
リズミカルな地球の変動 地球を丸ごと考える(1995年)増田富士男(岩波書店)
文 学芸員 西本昌司

 

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