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ブラザーアーストークでの油井宇宙飛行士との更新内容です。PDF版はこちらからご覧いただけます。
名古屋・小4 自衛隊のジェット機の操縦と、ISSのロボットアームの操縦は、どちらが楽しいですか? また、どちらが難しいですか?
油井 どちらも難しくてどちらも非常に楽しいです。でも正直に言うと、どちらかと言うと飛行機を操縦している方が楽しいかも知れません。と言うのは、私は何か乗っている物を操縦するのが好きなので、将来もし日本が宇宙船を作って、それを操縦することができれば、それが一番楽しいと思います。
伊丹・小5 私は、自由研究で毎年水耕栽培をしています。宇宙で育てたレタスと地上で育てたレタスの育ち方の違いや味の違いはありますか? また、油井さんがISSにいる間に、栽培予定の植物はありますか?
油井 こちらでも野菜を作って食べたんですけれども、それは非常においしかったです。育ち方も同じような形で水耕栽培で育てたんですけれども、非常においしかったです。ただ、やっぱりまだ、私が比べると、地球の野菜の方がおいしいかなという気がするので、これから色々な事を研究して、おいしい野菜が宇宙でできるようになるといいなというふうに思っています。
葛飾・小3 私のお父さんは、ずっと三重県でお仕事をしています。土日に新幹線で東京へ帰ってきたり、普通の日にテレビ電話でお話したりするのがとても楽しみです。油井さんは宇宙にいて、家族とどうやってどのくらいお話しますか?
油井 宇宙でもテレビ電話みたいな機械がありまして、家族とは週に一回ぐらいテレビ電話で話をしたりすることがあります。あとは、電話をすることもできますし、メールもいつでも送ったりすることができるので、意外にさみしくないですよ。ただ、すぐ地球に帰って会うということができないので、その点ではちょっと不便ですけれども。
釧路・小6 味覚や聴覚などの感覚は、宇宙と地上で違いはありますか? また、宇宙ではどんなにおいがしますか?
油井 味覚ですけれども、やっぱり宇宙に来るとちょっと味が濃い物が食べたくなる感じがしますね。私はカレーが大好きなんですけども、とても辛いカレーが好きになりました。あと匂いですけれども、実は空気が循環していて、どんどんフィルターで匂いも吸着してしまうので、あまり匂いはしないですね。とっても空気も清潔なんですよ。
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郡山・中3 星々やオーロラは、地球からと国際宇宙ステーションからで、どんな見え方の違いがありますか? また、その違いはどうして生じるのでしょうか?
油井 星は宇宙から見ると、大気がないので、瞬いたりしないんですよね。あと、本当に非常に暗いので、非常にたくさんの星がきれいに見えます。あと、オーロラとか流れ星については、オーロラも流れ星も地球の方に見えるので、私達からしたら下の方に見えるというのが地上とは違いますね。地上だと上から下に落ちてくる感じがするのと、上の空に見えるんですけど、私達からしたら、足の方、下の方に見えるという所が違いますね。空気があるというのと、宇宙ステーションは宇宙ステーション以外の明かりとかがないので、そういうところが影響してとてもきれいに見えます。
明石・高1 宇宙ステーションでの実験で、一番興味深いものはなんでしたか? そして、それは私たちの未来の生活に、どのような影響をもたらしますか?
油井 私自身が一番興味を持って面白いなと思ったのは、実はきぼうの船外に最近キャレットという装置があって、宇宙からくる放射線を観測する装置が付いたんですけれども、それは、今、天文学の世界で話題のダークマターというものを発見できる可能性があるということで、非常に私自身興味を持っています。ただ、それが皆さんの生活にすぐどういう影響があるかというと、それはなかなか難しくて、ただ人間は、好奇心を持って少しずつ探究心を持って研究をすることで科学を発展させてきたので、色々な研究が行われるというのがいいんじゃないかなと思っています。具体的に皆さんの生活に関わるところで言うと、非常に高品質のたん白質を作る、結晶を作る実験があるんですけども、そういう実験については、皆さんの将来使う新しい薬の開発に非常に役に立つので、そういう面では地上にすぐに役立ってくるのかな、というふうに思います。
倉敷・中3 私の将来の夢は、宇宙飛行士です。油井さんは、幼い頃から宇宙飛行士か天文学者になるという夢を抱かれていたとお聞きしました。夢を実現させるまでに、数多くの困難を乗り越えられたのだと思います。それらの困難にぶつかった時、油井さんはどのように対処されてきましたか?
油井 私も宇宙飛行士になりたかったり、天文学者になりたかったんですけども、やっぱり難しい時期はありましたね。そういう時にやっぱり一番良かったのは、周りの仲間や家族に恵まれて、色々な人が助けてくれたというのが良かったかなと思います。そういう面でみれば、夢を色々な人に話しておくことは大切かと思います。そしたら、苦しんでいる時にみんなが理解してくれて、助けてくれますから。あと、困難にぶち当たった時にどういうふうに対処してたかと言うと、やっぱり困難はあるんですけど、それが永久に続くわけではないので、自分の中で目標を決めて、例えば一年間があるんだったら、その半分のところ、もしくは 1/4 のところに目標を決めて、そこまでがんばってみようと。それが出来た時に、あとこれをもう一回繰り返せば困難が終わるんだなとか、そういうふうに考えながら、ちょっと短めの目標も考えながら努力してました。近藤くんもいろいろあるかも知れませんけれども、夢の実現の為にがんばってください。
葛飾・小6: 事前に細かいシミュレーションをされていたと思いますが、実際に宇宙へいってみなければ分からなかった事はありますか?
油井 訓練は、非常に地上でシミュレータなんかも使ってうまくできるんですけど、やっぱり模擬できないところはこの無重力の環境ですよね。どういう姿勢にでもなれるという所が。例えば、地上で訓練を受けている時は、天井の所で仕事をする時は、手をあげながら仕事していたんですけど、宇宙にくると天井につかまりながら、もしくはどんな姿勢でも仕事ができると。そういう事がやっぱり地上ではなかなか訓練できなかったので、一番宇宙では戸惑ったところですかね。あとは、こういう物なんかも、固定しておかないとどんどん飛んで行ってどっかへ行ってしまいますから、無くしてしまうと非常に大変なことになるので、そういうところは、地上では訓練できなかった所です。
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司会 その無重力のところというのは、慣れるのにはどのくらい時間がかかったりするんですか?
油井 最初にやっぱり1週間ぐらいちょっと戸惑いましたけど、その後は慣れてきまして、あとは一か月経った後、100日経った後、そこでは更に自分の体が適応してきた感じがあります。もう手足を利用して自在に動けるようになりました。
伊丹・小3 宇宙に行く前と今とでは、気持ちや考え方など何か変わりましたか?
油井 宇宙に来ると、地球を90分で1周してしまうんですよね。ですから、やっぱり地球って小さいなというふうに思いました。この小さい地球の上、表層に大気、空気があるんですけど、それが非常に層が薄くて、空気って自分が思ってたよりも本当に少ししかないんだなというのがわかりました。地球の環境問題とかありますけれども、やっぱり地球をしっかり大切にして守っていかないといけないんだなと、一人一人が気をつけなきゃいけないんだなというのがよく分かりましたので、今後もそういうことを気をつけながら、私もやりたいですし、皆さんにもそういうメッセージを送っていきたいというふうに思います。
名古屋・大人 国際宇宙ステーションの船内における衛生管理についてお伺いしたいです。普段から清掃活動を行っているのでしょうか。それとも様々なものが汚れないような設計になっていて清掃は不要なのでしょうか?
油井 私達も掃除はしなければいけません。空気を毎回循環させてまして、というのは重さが無いので、冷たい空気が重くて下に行くとか、そういう対流が発生しないので。常に循環させていないと、頭のまわりの二酸化炭素が濃くなってしまって、具合が悪くなってしまうんです。それを防ぐ為に、空気を循環させているんですが、循環させると共に、フィルターでゴミや匂いを吸い取っているんですよね。ですから、空気はすごいキレイなんですけれども、フィルターは汚れが出ますので、実は毎週土曜日が清掃の日になっていまして、フィルターを掃除しています。あとは、みんなが握るハンドルなんかを消毒液のついた布なんかでふき取ったりしています。またフィルターなども、何か月に1回かは交換するように、そういうふうにしながら、清潔な環境を保っています。
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司会 私もコーヒーが大好きで、油井さんのスペースカップに関するツイッターをとても興味深く拝見しました。スペースカップを見せていただけますか?
油井 普通宇宙では、コーヒーはパッケージに入っていて、ストローで吸うんですよね。ですから匂いがしなくて、あんまり私はおいしく感じなかったんですよね。そこで、こういうスペースカップを使って、この中にコーヒーを入れるとコーヒーは表面張力で中に留まりますし、実はこのカップ、非常に素晴らしい設計になっていて、毛細管現象という現象で、こう液体が吸い口の所にあがってくるんですよ。それで、地上みたいにコーヒーを飲む事ができると。そうすると、匂いもするのでおいしいということですね。このカップが使えない時は、丸くちょっと出して、この匂いを嗅ぎながらこのように飲むと結構おいしくいただけます。
明石・小2 油井さんは、子供の頃から宇宙飛行士になるという夢を想像していたんですか?
油井 私が子供の頃、小学校3年生ぐらいの頃ですかね、星が非常に見える川上村という所で育っていたので、星に興味を持ち始めて、その頃から宇宙飛行士になりたいな、とか、天文学者になりたいなって思うようになりました。福田さんも何かなりたいなってことがあれば、どんどんその夢に向かってがんばって欲しいですし、まだないのであれば、それを今のうちから探してもらえればなというふうに思います。
司会 北海道から岡山県まで千人近い人達が集まって、油井さんのとっても楽しいお話を聞かせていただきました。本当にありがとうございます。最後に油井さんからお話ししていただけないでしょうか?
油井 本日は、もう日本は夜9時を過ぎていると思うんですけれども、夜遅くにこんなにたくさんの方に集まっていただきまして、本当にありがとうございます。私も宇宙ステーションで 100日を超えて、いろんな成果もあげてきたと思っているのですが、これから最後、ラストスパートで、残りの期間もがんばっていきたいと思います。引き続き、最後まで応援の程よろしくお願い致します。こんな感じで楽しみながらがんばってますので、情報もツイッターで毎日発信していますので、私の事を応援していただければなというふうに思います。
 今日は本当にわざわざ集まっていただきましてありがとうございました。また一緒に夢に向かってがんばりましょう。