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なでてみよう!スナメリの3D模型

 

こんにちは。生き物担当学芸員の柏木です。

 

今回は生命館5階のバイオギャラリー「なごやのざんねんじゃない!いきもの」展示をご紹介します。この展示は、名古屋市科学館となごや生物多様性センターの共同企画で作成しています。

今、展示しているテーマはスナメリ。伊勢湾と三河湾に生息している小型のクジラです。名古屋港では冬に比較的普通に見られます。

 

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展示の一つ目の見どころは、藤前干潟に漂着したスナメリの全身骨格です。

これについては、漂着個体を収容するまでのエピソードや骨から何が分かるかなどがなごや生物多様性センターの「生きものコラム」で詳しく紹介されています。よかったらご覧ください。

 

そしてもう一つの見どころは、スナメリの頭骨の模型です。コレ、なんと実際に手にとって隅々まで観察できるのです。この模型は展示しているスナメリの頭蓋骨をCTスキャンで撮影して3Dデータを取り、3Dプリンターで出力して作ったものです。

みなさんに手にとって触ってもらっているのは表面構造だけですが、断面の模型も作ることができます

このようなCTスキャンを用いた観察は、観察する対象を壊すことなく内部を観察できるので、昆虫・化石・骨など様々な研究の現場で使われています。

 

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図1:CTスキャンで得られたスナメリ頭蓋骨のCTスキャン画像。断面も非破壊で観察できる

 

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写真1:3Dプリンターで出力している様子。一筆書きの要領で糸状の樹脂を重ねて作られる。

図1・写真1提供:名古屋市工業研究所 岩間由希 氏

 

ちなみにバイオギャラリーでの「なごやのざんねんじゃない!いきもの」シリーズの展示は、名古屋に生息している生き物を紹介するために昨年始めました。2020年に名古屋市のレッドリストが改定されることをきっかけに、なごや生物多様性センターの専門員の方と、地元の生き物を知ってほしいよね~!と盛り上がり実現したのです。ここ1年ほど、爬虫類、鳥類、昆虫、植物、哺乳類・・・と色々な分類群の中からいくつかの種をピックアップして紹介していて、この地域の専門家の方々にも協力して頂いています。

大問題は、展示場所が当館の最奥部で目立たないこと!

科学館に来た時は、生命館5階にも足を運んでみて下さい。生き物達が待っています。(スナメリは生きてません。)

一部の微細構造は、触っても壊れないように1mm程度の補強をしています。

 

展示作成:名古屋市科学館・なごや生物多様性センター

スナメリの頭骨3D模型作成協力:名古屋市工業研究所

文:学芸員 柏木晴香

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