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GGSS すごい石材 Vol.2「ニューインペリアルレッド」

 

石好き学芸員の西本です。

 

今日は公式YouTubeチャンネルで紹介したニューインペリアルレッドについてゴリゴリ深掘りします! 動画をまだ見ていない方はこちら→https://youtu.be/_ZyhpZXe76E

 

地下鉄伏見駅から名古屋市科学館に向かうとき、5番出口を上がってくる方が多いと思います。

この出口の階段や上がったところの公開空地の床、宝くじ売場まわりの壁などは、赤い石材で覆われています。床などでは、滑りにくいようラフな表面になっていますが、きれいに磨き上げられている部分もあり、どんな岩石か観察しやすくなっています。

 

この花崗岩が赤いのは、たくさん含まれているカリ長石が鉄分(赤鉄鉱)を含んで赤く染まってい るためです。これほど赤い花崗岩は日本では見られないので、赤い花崗岩を見つけたら海外産と思って間違いないでしょう。

そのひとつがこの「ニューインペリアルレッド」でインド産の花崗岩を切り出してきたものです。

「ニュー」というのなら「オールド」もあるかといえば、そのとおりで、スウェーデン産の「インペリアルレッド」という石材があり、それに似ていることから名付けられたようです。

ニューインペリアルレッドは、インド南部に南北400km、幅30kmにわたって分布している 「クロスペット花崗岩体」の一部で、およそ25億年前にマグマが大陸地殻を上昇した跡だと考えられています。

日本で見られる花崗岩の多くは、数千万年前に固まったものだといえば、いかに古いかわかるでしょう。25億年ものあいだ、大陸地殻の一部として、プレート運動によって移動しながら大陸の衝突や分裂を経験しながら、現在まで残り続けた岩石なのです。 

 

みなさんも、街中でニューインペリアルレッドを探してみてください!

 

NewImperialRed-Nittochi.jpg

写真1:地下鉄伏見駅5番出口付近の床に使われているインペリアルレッド

 

ニューインペ@日土地ビル2.JPG

写真2:インペリアルレッドのスキャン画像(幅約20cm)

 

画像 056.jpg

写真3:ニューインペリアルレッドの採石場(提供:矢橋大理石株式会社)

 

 

文献: Moyen, J.F., Ne ́de ́lec, A., Martin, H. & Jayananda, M., 2003, Syntectonic granite emplacement at different structural levels: the Closepet granite, South India. Journal of Structural Geology, Äi025, 611-631.

 

 

学芸員 西本昌司

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