名古屋市科学館

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七夕_2019

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 七夕の「おりひめ」と「ひこぼし」が見頃です。

 

tanabata_2019_1.jpg 新暦の7月7日は梅雨時で、なかなか晴れません。名古屋市科学館のある名古屋市中心部では、夜半前に見ることができませんでした。

 右は名古屋市科学館ができてからの統計で、7月7日の夜半前におりひめとひこぼしが見えたのは23%しかないのです。でもわざわざ雨の多い時期に七夕をするのも変ですよね。これは暦の変更のせいなのです。

 七夕のお祭りが最初に行われた奈良時代から明治5年までの長い間、現在とは違う暦(旧暦)が使われていました。この旧暦と現在の暦(新暦)とは、全体に約1ヶ月ずれており、さらに毎年、約11日ずれます。旧暦での7月7日が現在の暦でいつになるかを計算すると、右の表のように、ほとんどが8月になり、さらに毎年ばらばらなのです。

 その結果、新暦では22%だった見える率が、旧暦ではこれが63%となります(協力:日本気象協会)。これは、5年に1回しか見えない新暦に対して、旧暦では3年に2回ですから、ずいぶん違いますね。

 

 

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 ただし、毎年七夕の日が違うのも面倒です。そこで全体が一ヶ月ずれているのだから、一ヶ月遅れ(月遅れ)にしましょうという考え方が生まれました。この月遅れ七夕は毎年8月7日となります。実はお盆が8月15日なのもこれと同じ考え方で、本来は7月15日がお盆の日付だったのです。七夕のお祭りはこの月遅れ七夕で行なわれるところが多いですね。

 

 

 なお、旧暦七夕にはかならず半月に近い月があり、月明かりでもともと天の川が見えにくい夜でした。おりひめとひこぼしが渡りやすいように思ったのでしょうか。今年の旧暦七夕、8月7日にも月齢6.0の半月に近い月が出ています。この月を舟に見立てるという考え方もあります。そして偶然のめぐり合わせですが、新暦七夕にも少し細いですが、月が見えていて役者が揃ったという感じです。

 というわけで、七夕は例年、都合3回あるわけですが、、、。上の表をあらためてご覧ください。2019年は旧暦で計算した七夕と、月遅れ七夕がぴったり重なってしまう珍しいめぐり合わせです。ですので月遅れ七夕も月のめぐり的には、旧暦と一緒。どちらで七夕を楽しんでも、天文的風情は同じとなるわけです。

 もともと月明かりがあって天の川が見えにくい日の星まつりですから、現代の街中で天の川が見えなくっても、七夕は十分お楽しみいただけます。おりひめとひこぼしは毎晩見えていますから、この「七夕シーズン」のうちにぜひ見上げてみてください。

 

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