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記事掲載: 2015年09月19日
記事更新: 2015年09月22日
「中秋の名月」 2013 9 19 17:52 EOS40D 200mm F2.8 -> F5 1/8秒 ISO400
●もうすぐお月見ですね。今年の中秋の名月は9月27日(日)です。名古屋では17時10分に月が昇ってきます。この時刻は理想的な地平線から昇ってくる計算上の時刻。遠くにちょっと山があるだけで、見え始める時刻は遅くなります。さらに一見晴れているように見えても、地平線付近は霞んでいて、少し上に昇らないと見えてこない時も多いですから、すこし気長にお待ちください。低いところの月は、夕日や朝日が赤くなるのと同じく、大気による効果で赤くなります。ほのかに赤い月がだんだん上るにつれて白くまばゆくなっていきます。
●なお、月が昇る時刻は地域によってすこしづつ違います。国立天文台の今日のこよみページで、地域をメニューで変えて(初期値は東京です)ご確認下さい。
●お月見の日はこの表のように毎年変わります。毎年日付がばらばらなのは、旧暦の8月15日にお月見を行うからです。旧暦と新暦はもともと出発点=正月が1ヶ月ずれており、さらに毎年11日ほどずれます(1年より短い)。そこで、19年に7回ほどのペースで一年を13ヶ月にして調整します。そこで、この表のようにばらばらになるのです。
●本家中国では、旧暦8月15日だけがお月見でしたが、日本ではもう一巡りちょっと前の旧暦9月13日にもお月見をする風習が付け加わりました。「後の月」とか「十三夜」と言います。2015年の後の月は10月25日。ちょっと欠けた月を愛でるという風流なお月見です。お供えするもの=収穫時期で、中秋の名月を芋名月、後の月を栗名月とか豆名月と呼ぶ場合もあります。
●中秋の名月は旧暦の8月15日の月という決め事なので、かならずしも満月とは限りません。それどころか満月とずれるほうが多いくらいです。月と地球と太陽が一直線にならぶのが満月で、最大2日ずれる場合があります(表中黄色文字の年)。今年の場合は、翌日9月28日の11時51分が天文学上の満月となります。ただしほとんど丸いことには変わりありませんし、中秋の名月は旧暦の8月15日という決め事ですから、もともと少々ずれても気にしてなかったということなのです。
●このずれ・遅れの理由の一つ目は、月の軌道が楕円で、上の図の右側の一番右の新月の月が、満月の位置に行くまで、遠回り(図右上)の場合と近回り(図右下)の場合があり、新月の瞬間から満月までの時間を日単位で表すと、13.9日〜15.6日と幅があることが原因です。この平均は14.7日となりますが、さらに下の図のように、日にち単位で区切っていくために、名月の翌日や翌々日の満月が多くなるのです。
●理由の2つ目は、日単位で区切ることです。上の図は旧暦の日付と満月までの日数の関係を表したものです。もし新月が旧暦1日の午前0時に起き、14.7日で満月になったとすると中秋の名月である旧暦8月15日が満月となります。しかし旧暦1日のお昼頃や24時近くに新月になったとすると、旧暦16日が満月となります。さらに13.9日〜15.6日の幅を考えると、薄青の平行四辺形の範囲が満月のエリアとなります。すると、名月の翌日が満月になるほうが多いことがわかります。さらに前日になる場合は、満月までの日数が最短で、さらに新月が旧暦1日の0時ごろに起きた場合だけとなり、非常にまれなことがわかります。中秋の名月の前日(旧暦8月14日)が満月になる実例は、国立天文台によると600年で2回(1942,2127)しか起きないのです。このあたりは、国立天文台の「必ずしも満月ならず」、が詳しいです。
●2015年の中秋の名月は、9月27日。日曜日ですから家族そろってお団子食べてという楽しみ方をしやすいですね。ちなみに翌日28日の満月は、今年もっとも大きな満月となります。ただしその大きさの変化はごくわずか。写真に撮って比べてみて分かる程度です。もともと、地平線付近の月は、大きく見えるように心が働くのです。スーパームーンとか呼ばれたりもするようですが、大きく見える理由の大部分はこの心の働き=錯視です。
詳しくはこちら「月が大きく見えるわけ_2015」をお読みください。
●今年も良い名月が見られますように…