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展示ガイド

極寒ラボ

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展示作品の狙い

 極寒ラボは、極地とはどのようなところでどんな特徴があるのか、また、なぜわざわざ極地まででかけていって観測や研究をするのか、そしてどのような研究が行われているのか、を知ってもらうのが目的です。マイナス30℃を体験しながらオーロラ映像を見たり、氷の実験や氷の結晶の観察をしたりしてみてください。極寒ラボは、感じて学べる大型展示品です。

知識プラスワン

□風と気温
 極寒ラボでは、風は吹いていません。しかし、北極でも南極でも、風速数十メートルという強い風が何日も吹きつづくことがあるのです。気温がマイナスなのに、その上また風にさらされるとよけいに寒くなる感じですが、実はこれは大変重要なことなのです。風は空気の流れなのですが、冷たい風が人に当たるということは、その人の持っている体温を冷たい空気が奪っていく、ということです。
□体感温度
 このように、同じ気温でも風が強いとより寒く感じます。実際の気温ではなく、どれくらい寒く感じるか、という目安に「体感温度」を使います。体感温度は、風だけではなく湿度や日差しも関係してきますが、特に気温と風だけに注目した場合、風速が1メートル増すごとに体感温度は1℃下がる、と言われます。私たちの日常生活でも、風が強いなと感じるのは風速5メートルくらいからですが、このときには実際の気温より5℃寒く感じていることになります。
□冬山登山と体感温度
 冬、雪の積もった山で登山をする人は多くはありませんが、気温はそれほど低くないのに、風のせいで身動きが取れずに遭難してしまうことがあります。気温がマイナス5℃のとき、風がなければマイナス5℃に感じます。しかし、冬山では風速が20メートルになることも珍しくありません。このときには、体感温度はマイナス25℃にも下がってしまい、かなりぶ厚い防寒着が必要になってしまうのです。風速60メートルにもなる南極では、なんと60℃も下がってしまうことになります。実際には風速60メートルでは建物から外に出られませんからその心配は不要ですが、いずれにしろ、南極観測隊も風を意識して装備を調えています。
□ウインド・チル
 なお、風によって体感温度が下がることを「ウインド・チル(Wind Chill)」と呼びます。極寒ラボでは、ウインド・チルを体験するような設備はありませんが、機会があったら極地体験室でうちわなどを使ってみてください。きっとその寒さに驚くことでしょう。

 


【 参考資料 】

□参考文献
冬山 (ヤマケイ登山学校 10) (1997)近藤和美 (山と渓谷社)
□著者 学芸員 小塩哲朗

 

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