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展示ガイド

金属

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展示作品の狙い

 工業製品の材料は「金属」「セラミックス」「有機材料」の3つに分類できます。この展示では、「金属」および「めっき」とはどういうものかを知ってもらうために、映像解説とさまざまな実物試料の展示をしています。


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知識プラスワン

【金属の性質と金属結合】
 「金属」は金属原子が規則的に並んだ結晶が多数集まってできています。金属の共通する性質として、電気や熱をよく伝える、展性(たたくと広がる性質)や延性(引っ張るとのびる性質)、金属光沢がある、があげられます。これらの性質は、金属の原子どうしが自由電子を全体で共有している「金属結合」によるものです。
 金属の中を自由に動きまわる電子(自由電子)があるため、電気や熱を伝えやすいのです。
 また金属をたたいて変形させると、原子の位置はずれますが自由電子によって原子どうしの結合は保たれます。それで割れずに変形・加工することができるのです。特に金は展性・延性が大きく1万分の1mmの単位の薄さの金箔にのばすことができます。
 金属の表面の自由電子が、可視光線すべてを反射するため、ほとんどの金属は銀色の金属光沢をもちます。金や銅では可視光線の一部を吸収するので黄色や赤色の金属光沢になります。
【鉄】
 自然に存在する元素のうち約70種類は金属元素です。それらの金属の中で、鉄は地球重量の約30%を占めています。
 鉄の原料の鉄鉱石は、鉄と酸素が結びついた酸化鉄として存在しています。これとコークスとを高温下で化学反応させ、酸素を取りのぞいて(還元)、鉄にします。
 ところで純粋な鉄だけでは、軟らかすぎて役に立ちません。一般に鉄製品と呼ばれているものは、炭素とその他の元素を含む合金です。炭素の量が約2%以下のものを鋼(こう:または、はがね)、2〜6.7 %含むものを鋳鉄(ちゅうてつ)といいます。
【鋼と熱処理】
 鉄の原子の並び方(結晶構造)は温度によって変わります。純粋の鉄の場合では、910 ℃以下がα (アルファ) 鉄、910 〜1400℃がγ (ガンマ) 鉄、1400〜1535℃がδ (デルタ) 鉄とよばれ、図のように、その構造が変わります。
 鋼を約 800〜 900℃に熱してから、できるだけゆっくり冷却すると、軟らかい鋼になります。これを「焼きなまし」といいます。しかし、同様に熱してから水や油に入れて急激に冷やすと、硬くて脆い鋼ができます。これを「焼き入れ」といいます。冷やす速さによって、なぜこうした違いがあらわれるのでしょう。
 高温のγ鉄構造の鋼では、炭素原子は鉄原子のすきまに入り込んでいます。これをゆっくり冷やしていくと、α鉄の構造に変わろうとします。しかしα鉄の鉄原子の間のすきまは小さく、炭素原子はそのすきまには入れません。そのため炭素原子がゆっくり移動して、鉄原子だけのα鉄と、鉄と炭素の化合物(Fe3 C)(注)の部分とに細かく分かれます。これが「焼きなまし」のときにできる鋼で、軟らかく伸びやすい特徴があります。
 一方、急激に冷やす「焼き入れ」では、炭素原子が移動する時間がありません。その結果、α鉄の鉄原子のすきまに、無理やり炭素原子の入った、いびつな構造になります。こうしてできた鋼を変形させようとしても、炭素原子がじゃまになって、変形できません。つまり硬い鋼です。しかし、硬いということは、衝撃でわれやすくもあります。この欠点を無くすために、焼き入れした鋼を再び400 ℃または600 ℃に熱して「焼き戻し」をします。そうすると、硬さを保ちながら、われにくい鋼ができあがります。



【 参考資料 】

協力 
新日本製鐵株式会社
大同特殊鋼株式会社
社団法人日本アルミニウム協会
愛知県鍍金工業組合
参考資料
図解雑学金属の科学(2005) 徳田昌則他(ナツメ出版)
よくわかる最新金属の基本と仕組み(2006)   田中和明(秀和システム)
鉄と鉄鋼がわかる本(2004)     新日本製鐵(株) (日本実業出版)
絵と文 学芸員 石田 恵子

 

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