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セラミックスのセンサー

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展示作品の狙い

 ファインセラミックスの中には、おもしろい性質をもっているものがあります。展示では、
・ 圧電性をもつセラミックス「圧電セラミックス」を利用した超音波センサー
・ 半導体の性質をもつセラミックスを利用した温度センサー
をとりあげています。
 超音波センサーであなたの身長を測ってみましょう。温度センサーであなたの手の温度を測ってみましょう。

知識プラスワン

【圧電セラミックス】
力を加え変形させると電圧が発生し、逆に電圧を加えると変形する性質を「圧電性」、物を「圧電体」といいます。このうちファインセラミック製の物を「圧電セラミックス」といいます。
【圧電セラミックスの利用】
 加える電圧の向きにより、圧電セラミックスは伸びたり縮んだりします。そこで圧電セラミックスに交流電圧を加えると振動を始めます。これを利用した製品に、魚群探知機や加湿器の超音波発生装置、電子ブザー、携帯電話用スピーカー、インクジェットプリンターのインク滴を飛ばす部品などがあります。
 逆に、力を加えると電圧が発生することを利用した製品に、魚群探知機の超音波受信装置、ライターやガスコンロの点火装置などがあります。
 その他にも、電波の中から必要な信号だけを取り出すフィルタ、電子回路の基準信号を出す発振子、衝撃を感じ取るショックセンサー、カメラの手ぶれ補正やカーナビのジャイロセンサーなど、さまざまな電化製品の中で、圧電セラミックスは活躍しています。
 展示では、このうち超音波センサー(超音波発生・受信装置)を使っています。頭上の超音波センサーから出た超音波が、あなたの頭に反射してもどってくるまでの時間を計ります。その時間と音速から距離を計算して、身長がわかります。
 
【半導体セラミックスとサーミスタ】
 ファインセラミックスは一般的に電気を通さない絶縁体ですが、加える温度や電圧によって電気を通す半導体の性質をもつものがあります。電気抵抗が温度によって変化することを利用したファインセラミックスの温度センサーを「サーミスタ」といいます。
【NTCサーミスタ】
 展示では、温度が上昇すると電気抵抗が小さくなる「NTCサーミスタ」で温度を測っています。
 NTCサーミスタは、電子体温計やエアコンなどの家電製品の温度センサーとして広く用いられています。材料は、マンガン、コバルト、ニッケル、鉄などの酸化物を混合して焼結したファインセラミックスです。
*NTC(Negative Temperature Coefficient)
【そのほかのサーミスタ】
 NTCサーミスタ以外に、温度上昇すると抵抗が大きくなるPTCサーミスタ、ある温度をこえると急激に抵抗が小さくなるCTRサーミスタがあります。またポリマー原料のPTCサーミスタもありますが、ここではファインセラミックスのPTCサーミスタについて述べます。
 PTCサーミスタは、電子あんか、ふとん乾燥機、電子炊飯器、ヒーター、ヘアードライヤーなどに熱を発生させる目的で使われています。また過電流や加熱から電子回路を保護する役目をします。材料は、チタン酸バリウムに微量の希土類元素を添加したファインセラミックスです。
*PTC(Positive Temperature Coefficient)

 


【 参考資料 】

参考資料
家電製品がわかるⅠ(2008) 日本化学会編(東京書籍)
TDKテクの雑学No.17, 44, 89
  http://www.tdk.co.jp/techmag/knowledge/200803u/index.htm
村田製作所 エレきっず学園 http://www.murata.co.jp/elekids/index.html
文 学芸員 石田恵子

 

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