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展示ガイド

超はっ水と超親水

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展示作品の狙い

  フッ素樹脂加工したフライパンに水滴を落とすと、水滴は表面張力で丸く盛り上がります。このように水をはじく性質を撥水(はっすい)性といいます。一方、きれいなガラス板に水滴を落とすと、水滴はあまり盛り上がらず平に広がります。このように水にぬれる性質を親水性といいます。
 この展示では、その性質を高めた超撥水加工した材料と超親水加工した材料に、実際に水滴を落として、その様子を観察することができます。また実験の拡大映像(あらかじめ撮影したもの)もご覧いただけます。
 なお、この展示で紹介している技術は、どちらも生物のしくみに学び研究開発されたものです。

知識プラスワン

【水をはじく表面と水にぬれる表面】 
 水をはじく表面と水にぬれる表面、この違いは、水と材料とが仲が良いか悪いかで決まります。フッ素樹脂は水と仲が悪く、水をはじきます。一方、ガラスは水と仲が良く、水にぬれます。
 ところで、水のはじきやすさや水にぬれやすさの度合いは、材料の表面と水滴の接触する角度(接触角)で表されます。明確な定義はありませんが、だいだい接触角が90度より大きい場合を撥水性(水をはじく、水にぬれにくい)(図1)、40度より小さい場合を親水性(水にぬれる)(図2)とよんでいます。
【超撥水】
 一般的に材料の表面と水滴との接触角が150度以上の場合を超撥水とよんでいます。
 雨上がりに、ハスやサトイモの葉の上でコロコロと転がる水玉を見たことがあると思います。フッ素樹脂加工したものと水滴との接触角は約120度ですが、ハスの葉の接触角は約160度で超撥水です。ハスの葉はなぜそれほど水をはじくのでしょう。
 じつはハスの葉の表面は平に見えますが、数㎛の細かいデコボコ(凹凸)状になっています。さらにそれぞれの突起の表面に数百分の1㎛の微細な突起があります。この二重のデコボコ構造によって球体の水玉がささえられているのです。
 展示で紹介している超撥水加工は、このハスの葉の表面構造を研究して開発されたものです。有機シリコン化合物を原料とし、非常に細かい微粒子を雪のように降り積もらせて微細なデコボコ構造がつくられています。
 従来の防水スプレーは、超撥水ではなく、材料に吸着している(くっついている)だけなので耐久性もありません。この超撥水加工は、材料と化学結合しているので耐久性が向上し、また透明なので窓などのガラスにも使用可能です。車のフロントガラスへの応用はまだ研究中ですが、将来ワイパーのない車が走るようになるかもしれません。
【超親水】
 材料の表面と水滴との接触角が非常に小さい場合を超親水といいます。
 ここで展示している材料の表面にはシリカ成分が塗られています。シリカ成分は水と仲が良く超親水です。そして空気中の水分を強く吸着して薄い水のまくをつくります。その上に汚れ(油汚れ)がついたとしても水をかけると一緒に洗い流されてしまいます。光を必要としない方法なので、日の当たらない場所でも性能を発揮することができます。この技術は掃除が困難なビルや住宅の外壁材に使われています。雨が降ると汚れが簡単に落ちて、きれいな外壁を保つことができます。
 この汚れを防ぐしくみは、カタツムリの殻がいつもきれいである謎を研究して開発されました。カタツムリの殻を電子顕微鏡で観察すると、殻の表面に細かい溝が広がり、常に溝に水がたまるしくみになっていました。つまり殻全体がいつも薄い水のまくにおおわれた状態で、汚れは雨とともに洗い流されて、いつもきれいだったのです。生物ってすごいですね。自然に学ぶことはいっぱいありそうです。
(なお超撥水加工には、展示で紹介している方法以外に、酸化チタンによる光触媒反応を利用した方法もあります。)

 


【 参考資料 】

協力
名古屋大学教授 高井治
株式会社INAX
竹田印刷株式会社

参考資料
You-Tube夢の扉 ワイパーなし究極のカーを作れ 1/2
http://www.youtube.com/watch?v=5DOTqj5W7G4&feature=related      
同2/2 http://www.youtube.com/watch?v=75vJKpUBLkY
INAXのサイト http://www.inax.co.jp/inax/story/technology/nano.html?isearch=0
超撥水と超親水 (2009)辻井薫(米田出版)
 
文 学芸員 石田 恵子

 

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