名古屋市科学館

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展示ガイド

回る水槽

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展示作品の狙い

 水槽を回転させた時の水面の形を観察してもらうことで、重力と遠心力のバランスを考えてもらいます。

知識プラスワン

 展示品で水槽を回転させると水面の形が変化していきます。遠心力で水が回転の外側に押しやられるからだと考えることができますが、回る水槽の水面の形にはそれなりの理由があります。水にかかる重力と遠心力の合成力によって水面の形が決まります。そして、その形は数式 Y=aX^2(注釈:X^2はXの二乗の意味) で表すことのできる放物線になります。
 水面というのは、静かな動きのない場所ではそこの水平を示す最たるものです。もう少し正確な言い方をすると、水面は、重力やその他の力を合わせたその場の力の向きに垂直な面になります。ですから、水面の傾きを見ることで、その場の力の向きがどちらを向いているのかが分かります。
 回る水槽の水にかかる力というのは、重力と遠心力になります。重力は地球から引っ張られる力で、方向は真下になります。遠心力は水槽の回転によって生まれ、回転の外側に向かう力です。この展示品の場合、遠心力の向きは重力の向きと直角になります。そして水槽の水には2つの力を合成した力がかかります。この場合、2つの力の方向は直角なので、合成した力は斜め下になります。水面はその力の向きに垂直な面になりますから、水平よりも斜めな面になります。また、遠心力は回転の外側ほど大きな力になりますので、水槽の中心から外れるほど、大きな遠心力になり、重力と合成した力の方向はより傾いたものになります。それが、水槽の外側ほど大きな傾きの水面になっている理由です。
 遠心力は中心からの距離に比例して大きくなります。そのため、遠心力と重力の合成で作られる力の傾きは、中心からの距離に比例して大きくなります。この場合の傾きとは、角度ではなく、傾きの横と高さの比のことを考えています。傾きが距離に比例して大きくなる曲線は数学では放物線になりますから、実際の水面においても放物線になるわけです。

 


【 参考資料 】

参考資料
視覚でとらえるフォトサイエンス物理図録(2006)数研出版編集部(数研出版)
文 学芸員 山田吉孝

 

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