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モーター

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展示作品の狙い

 電気モーターにはいろいろな種類がありますが、直流モーターと誘導モータの代表的な2つでモーターが回転する仕組みを知ってもらいます。


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知識プラスワン

モーターには動くもの、回転するものという意味がありますから、電気で回転するモーター以外にも、ガソリンで動くエンジンのこともモーターと言いますし、超音波モーター、分子モーターなどいろいろなものがあります。固体燃料ロケットのことをロケットモーターとも言いますし、モーターサイクルといえばオートバイのことです。
 ここでは、電気で回転するモーターについて説明します。電動機などとも言われます。
 モーターは電流と磁場の作用で動きます。どのように電流を流すのか、コイルの配置をどのようにするのか、磁場をどのように変動させるのかなどなど、モーターを働かせるための方法はいくつもあり、実用化されているモーターには様々な形式のものがあります。
 展示品では、学校で習う電磁気の法則がそのまま当てはまる『直流モーター』と、磁石がなくてもモーターが回転することを理解してもらう『誘導モーター』を展示しています。 
【直流モーター】
 展示品の直流モーターはとてもシンプルな構造をしています。電線を巻いてあるコイル自身が回転し、コイルが磁石の近くを通るときだけ、力を受けるようになっています。発生する力と電流の向きと磁力線の向きの3つ関係は、それぞれが直角に交わるようになっているので(フレミングの左手の法則)コイルが磁石の近くを通過するときに受ける力が、コイルを回転させる方向になるように配置すれば、モーターを作ることができます。その他は、必要な時だけコイルに電流を流すように整流子と呼ばれるもので工夫をしています。
【誘導モーター】
 誘導モーターは直流モータほど分かりやすくはありません。上から見ると2つのコイルが十字になるように配置されています。回転子と呼ばれるモーターの回転する部分は、コイルに囲まれています。スイッチを押すとコイルに電流が流れて、回転子が回転します。電流も磁力も目に見えませんので、何が回転子を回転させるのかが見た目には理解できません。
 2つのコイルには少々複雑な電流の流し方をしています。最初に1つのコイルだけに電流を流します。次にその電流を止めて2つ目のコイルに電流を流します。またその電流を止めて、1つ目のコイルに逆向きの電流を流します。またその電流を止めると、2つ目のコイルに逆向きの電流をながします、そしてその電流を止めると最初に戻り1つ目のコイルに最初と同じ向きの電流を流します。それを延々と続けます。展示品ではこのサイクルを1秒間に60回行ないます。これを行うと何が起きるかといいますと、コイルの中に回転する磁界が生まれます。1つのコイルに電流を流すと、コイルを貫く向きに磁力が発生します。2つ目のコイルで発生する磁力は、2つのコイルが直角に配置されているので、1つ目のコイルの発生する磁力の向きと直角になります。また電流の向きを逆にすれば、磁力の向きも反対になります。先程述べたように、コイルに順番に電流を流していけば、コイルの中の磁力の向きは、ぐるぐる回転するようになります。その回転する磁力の力によって、中央の回転子は回転します。回転子の中には磁力によって誘導された電流が発生するので、このモーターを誘導モーターといいます。



【 参考資料 】

参考資料
視覚でとらえるフォトサイエンス物理図録(2006)数研出版編集部(数研出版)
文 学芸員 山田吉孝

 

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