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電磁石

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展示作品の狙い

 電流が作る磁石の強さを体感しながら、電気と磁石の関係を知ることができます。

知識プラスワン

知識プラスワン
 展示品は電磁石と呼ばれるもので、鉄芯のまわりに電線をぐるぐる巻きに巻いてあります。このように電線を巻いたものをコイルと呼びます。コイルに電流を流すと鉄芯は強い磁石になります。鉄芯の片側がN極のとき反対側はS極になります。コイルに流す電流の向きを反対にすると、N極とS極が入れ替わります。
【電気と磁石の関係】
 電気と磁石は密接な関係があります。1820年にデンマークの物理学者 エルステッドが、電流の流れている電線の近くに方位磁針を置くと針が動くことで、電気と磁石の関係を発見しました。このことは今でも簡単な実験で試すことができます。方位磁針を電線の上にのせて電流を流すと、針が電線の向きと直角になろうとします。また、方位磁針の上に電線をのせると、電線が下にあった時と逆方向に針が動くのも分かります。
【電磁石の始まり】
 電線一本では強い磁力を発生させることは出来ませんが、電線をコイル状に巻くことで、一本一本の電線が発生する磁力を束ねることができ、強い磁力を発生させることができます。電線をコイル状に巻いて電気を流すと、コイルの両端が磁石のN極とS極になります。コイルの中心部分に何も入ってない空芯のコイルでも磁力は発生しますが、芯に鉄などを使うとより強い磁力を発生させることができます。コイルの中に発生した磁力を鉄芯に集中させることができるからです。
 最初の電磁石は、馬蹄形(ばていけい)をした鉄に電線を巻きつけたもので、1820年代にイギリスのスタージャンによって作られました。
【電磁石と磁石】
 電磁石と磁石の大きな違いは、電流を制御することで磁力を変化させることができることです。電磁石は大きな電流を流せば強い磁石になり、電流を止めれば磁力をなくすことができます。磁石では磁力を変化させることができません。電磁石では磁力を変化させられることを利用して、ものを運んだりすることができます。
【磁力線】
 磁石では磁力線というものを考えることができます。磁力線は磁石のN極からS極へ向かう仮想の線で、磁力の強さや向きを考えるときに便利なものです。 磁石の上に紙をのせて、その上に砂鉄を降りかけると、磁石を取り巻くような模様ができます。その模様が磁力線にほぼ一致します。
 方位磁針が指し示す向きというのは、地球の磁力線の向きになります。展示品で細い鉄の棒を何本も電磁石にくっつけると、その棒は磁力線の向きにほぼ沿うようにつながります。磁力線はN極とS極を結んでいますから、棒は電磁石のN極とS極を結ぶようにつながります。展示品で電流の向きを変えてN極とS極を反転させると、磁力線の流れがどのように変化したのかを棒のくっつき方で知ることができます。磁力線は必ずN極とS極を結ぶようにくっつき、決してN極とN極、S極とS極というように同極同士がつながるようには棒はくっつきません。

 


【 参考資料 】

参考資料
視覚でとらえるフォトサイエンス物理図録(2006)数研出版編集部(数研出版)
文 学芸員 山田吉孝

 

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