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ぶくぶくタンク・ポコポコタンク

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展示作品の狙い

地表の水は蒸発して水蒸気となり、上昇し上空で雲をつくります。雲はやがて雨(水)となって地上にもどり、海に注ぎます。水は地球上で循環しているのです。「水のひろば」はこの大きな水の循環と水の性質について、さまざまな実験を通して知識を深めていただくためのものです。
ここでは「うみのステージ」の2つの展示を解説します。あわの性質について調べます。


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知識プラスワン

<ぶくぶくタンク>
円筒形の水槽にボールが浮かんでいます。レバーを操作して、大量のあわを発生させます。すると、浮かんでいたボールが次第に沈みはじめます。なぜこのようなことになるのでしょうか。
重い船が海水に浮かぶのは、船に対して浮力という上向きの力がはたらくからです。浮力の大きさは、船が排除した海水の重さと同じ大きさです。船の重量とこの浮力がつりあうことで、船は海に浮かんでいるのです(図1)。
ここで、海水に大量にあわ、すなわち空気がたくさん含まれているとすると、船の重さにつりあう浮力を得るためには、船が排除する海水のみかけの量を多くしなければなりません。すなわち、船を深く沈めないとその量をかせぐことができなくなるのです(図1)。
アメリカのフロリダ半島の近くのバミューダ海域でよく船が沈むといわれてきました。その理由のひとつに、この現象を指摘する学者がいます。この地域の海底にはメタンハイドレートが大量にあり、そこからメタンが泡となって海上に上がってくるため、船が沈みやすくなるという説です。メタンハイドレートとは、常温常圧で気体のメタンが、深い海底でシャーベット状になったもののことです。
<ポコポコタンク>
水の水槽の底に空気を送り、あわを発生させ、そのあわが上昇していくようすを観察する実験装置です。
あわは、最初はちいさいのですが、次第に大きくなっていくこと、そして、大きくなるにつれて上昇する速さが増していくことに注意しましょう。
まず大きさの変化について解説します。あわは空気で気体です。圧力を受けると小さく、圧力が下がると大きく体積を変化させます。ボイルの法則です。水槽の底は水圧がもっとも大きくかかる場所です。ここではあわは小さなものです。しかし、上昇するにつれて、水圧が小さくなりますから、大きなあわに成長していきます(図3)。
次に、大きなあわにはたらく上向きの力を考えます。あわには浮力がはたらきます。浮力は排除した水の重さと同じ大きさですから、あわの体積に比例します。あわを球と仮定すると、直径の3乗に比例します。すなわち、あわの直径が大きくなると、急激に浮力が増していくのです。
一方、あわが上昇していくとき、水の抵抗を受けます。あわの上昇をおさえようとする力、すなわちあわに対して下向きの力がはたらきます。この力は、あわの断面積に比例します。やはり、あわが大きくなればなるほど上昇を抑えようとする力も大きくなるのですが、それは浮力の上昇に比べると緩慢です。
上向きにはたらく浮力と下向きにはたらく抵抗力を比較し、上昇に伴って大きくなったあわは、次第に上昇するはやさを増していくことがわかります(図4)。



【 参考資料 】

参考資料
トコトンやさしい流体力学の本(2009)久保田浪之介(日刊工業新聞社)
やさしい流体の力学(1985)松尾一泰(森北出版)
文 学芸員 馬渕浩一

 

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