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展示ガイド

NKSじしゃく

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展示作品の狙い

 そなえつけのくぎをNKS磁石に近づけてみましょう。とても強い磁石だということがわかるでしょう。世界における強力な永久磁石の研究開発の始まりは、本多光太郎らが1917年に発明したKS磁石鋼がきっかけといってもいいでしょう。この磁石は非常に有名になり、それ以後磁石の研究において、日本は世界をリードしてきました。KSというのは、研究費を援助した住友吉左衛門の頭文字から名付けられたものです。その後、増本量や白川勇記が研究に加わって、1935年にNKS磁石鋼が発表されました。new(新しい)KSという意味です。これが展示されている磁石です。鉄・アルミニウム・ニッケル・コバルト・銅・チタンからできています。
 なおこの展示は「なつかしの展示」の一つで、1974年に寄贈されたものです。

知識プラスワン

【磁石につくもの、つかないもの】

 磁石につくものを身のまわりで探してみましょう。くぎや針などの鉄製品が磁石につきます。日本円の硬貨はどうでしょう。現在使われているものは、いずれも磁石につきません。

 磁石につく性質(強磁性といいます)があるのは鉄、コバルト、ニッケルだけです。では、これらを含むものが磁石につくかといえば、一概にはいえません。500円・100円・50円硬貨はニッケルと銅の合金(ニッケル25%)ですが、磁石につきません。鉄の化合物にも、磁石につくもの(例:砂鉄などの酸化鉄)や、つかないもの(例:黄鉄鉱)があります。またステンレスは、鉄とクロム他からできている合金ですが、磁石につくものとつかないものがあります。磁石につかないステンレスは、さらにニッケルを加えた合金で、より錆びにくい高級ステンレスです。強磁性のニッケルを加えることによって磁石につかなくなる、というのも不思議ですね。みなさんの家にあるスプーンやフォークなどのステンレス製品が、磁石につくかどうか調べてみましょう。


【鉄などが磁石につくのはなぜ?】


 磁石についた鉄くぎに、別の鉄くぎを近づけると、つきますね。磁石につくものは、磁場の中にあるとき、それ自身も磁石になっています。

 鉄やコバルトやニッケルは、小さな小さな磁石の集まりといってもいいでしょう。ただし、ふつうは内部の小磁石がバラバラな方向を向いているため、お互いに磁場を打ち消しあって、全体としては磁石の働きはしません。ところが、外から強い磁石の力を受けると、内部の小磁石が同じ向きに整列するため、全体が磁石としての働きをもつようになります。

 ところで、なぜ鉄などの内部に小磁石があるのでしょう。物質は原子からできていますが、この原子の中の電子の回転運動がその原因です。電流が流れると磁場ができます。電流とは電子の流れですから、電子が動くと磁場ができるわけです。しかし、電子のまわりには別の電子があります。原子内の他の電子や、隣あった原子の電子と相互作用をおこす結果、互いの磁場が打ち消されて小磁石ができない場合が多いのです。ふつうの鉄(α鉄)などは、磁場が打ち消されずに残るため、内部に小磁石ができ磁石につくわけです。ただし、隣あった原子どうしの距離によっては相互作用も異なるので、原子間隔が異なる磁石にはつかない鉄(γ鉄)を特殊な方法でつくることもできます。

 


【 参考資料 】

参考資料

磁石の魅力(1980年)板倉聖宣(仮説社)
新しい磁石(1993年)日本化学会(大日本図書)
磁気がひらく未来(1990年)田崎明(裳華房)
文 学芸員 石田恵子

 

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