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さっかく

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展示作品の狙い

 静止画なのに動いて見える不思議な絵「いろいろなさっかく」、自分の手のひらがなぜかすべすべになって感じられる「すべすべのて」、歩くことができなくなってしまう「さっかくのへや」、ありえない事がおこる摩訶不思議な立体図形「ふしぎなりったい」をまず体験してみましょう。そして錯覚のおもしろさを感じてください。

知識プラスワン

【いろいろなさっかく】
 北岡明佳さんの錯視の作品を3種類展示しています。錯視というのは目の錯覚のことです。
 「拡大パンジー」や「土煙をあげて左右に動く蛇」は、止まっているものが動いて見える錯視です。「あさがお」はあるはずの点が消えてしまうという錯視です。絵のどの箇所を見ても、見つめている部分だけに点があり離れたところには点がないように見えます。
【すべすべの手】
 展示している網を両手ではさんで、そのまま網をなでてみましょう。自分の手のひらや指がすべすべになるような、ビロードの布をさわっているような、なんとも表現しようがない不思議な感じがします。
 残念ながら、この不思議な錯覚の理由はわかりません。
 
【さっかくのへや】
 「さっかくのへや」は床も壁も天井も斜めに傾いた部屋です。この部屋の中では、坂になったレールをボールが上の方へころがっていきます。
 「さっかくのへや」の中をゆっくり歩いてみましょう。歩けますか? 体がふらついて歩くことが難しいでしょう。それどころか、立っているのさえ難しいかもしれません。倒れそうになったら、危険ですので、しゃがんでください。あるいは壁につかまってください。そして目を閉じてください。気分が落ち着いたところで、目を閉じたまま、ゆっくり立ち上がってみましょう。今度は立つことができるでしょう。目を開けるとまた体がふらついてしまいます。
 ところで耳の中(内耳)には、平衡感覚を司る器官があり、体の傾きや動きを感じ取っています。さらに目から脳が受け取る視覚情報もバランスを保つのには重要です。みなさんが片足立ちをしたとき、目を閉じると体がふらついてしまったという経験をされていると思います。見ている景色から、自分の姿勢を微調整しているわけです。私たちはこれらの感覚のおかげで、倒れず歩けますし、バランスをくずしても立て直すことができます。
 さて「さっかくのへや」の壁は、斜めの床に対して垂直に、つまり地面に対しては斜めに建っています。目を閉じているときは、耳からの情報だけが脳に伝えられますので、私たちは地面に対して垂直の姿勢を保とうとし、斜めの床に立つことができます。ところが目を開け、壁や天井を見ると、自分の体の方が斜めの姿勢になっていると思ってしまいます。そうなると、2つの違った情報を受け取った脳が正しく判断できず、混乱してしまうわけです。目からの情報に脳がだまされてしまうのですね。
 
【ふしぎなりったい】 
 まずは、穴から中をのぞいてみましょう。中央台から四方向へすべり台がのびています。そして、すべり台の下にボールをおくと、驚いたことに、中央へ吸引されるかのように、ころがり上がってしまいます。
 ここでは杉原厚吉さんの不可能立体を3種類展示しています。こんな形を作ることは不可能としか思えない立体や、あり得ない動きをする3次元のだまし絵です。どんなトリックかを考えてから、たねあかしのスイッチを押してください。 

 


【 参考資料 】

協力
立命館大学文学部人文学科心理学専攻教授 北岡明佳
明治大学研究知財戦略機構特任教授  杉原厚吉
参考資料
だまされる視覚-錯視の楽しみ方(2010)北岡明佳(化学同人)
人はなぜ錯視にだまされるのか(2008) 北岡明佳(カンゼン)
Newton別冊 錯視完全図解(2007) (ニュートンプレス)
北岡明佳の錯視のページ http://www.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/index-j.html
まさか?のへんな立体(2008) 杉原厚吉(誠文堂新光社)
だまし絵のトリック-不可能立体を可能にする(2010)杉原厚吉(化学同人)
科学であそぼう12だまし絵であそぼう(1997)杉原厚吉(岩波書店)
New!不可能モーション http://home.mims.meiji.ac.jp/~sugihara/hobby/hobby.html
からだの不思議図鑑(2010)竹内修二(PHP研究所)
文 学芸員 石田 恵子

 

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