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展示ガイド

ふしぎなおとのもり

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展示作品の狙い

 おでこを「?」マークにくっつけると、音が聞こえます。耳をふさいでもよく聞こえます。どうしてでしょう?そのわけは、骨伝導(こつでんどう)という音の伝わり方を利用しているからです。
 いつもと違う聞こえ方を楽しんでください。なお、「?」マークは違う高さに3つあり、聞こえてくる音は3種類設定されています。愛知県の鳥で、別名「ブッポウソウ」とも呼ばれる「コノハズク」のほか、いろいろな虫の声を聞くことができます。


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知識プラスワン

【音は鼓膜(こまく)のふるえ)
 私たちはどうして音をききとれるのでしょうか。「それは耳があるから」と思っているでしょう?では、耳の何で音を感じているのでしょうか?
 音(空気のふるえ)は、どうやって感じ取るのか、ちょっと複雑ですが耳の穴から順番に見ていきましょう。
(1)鼓膜(こまく):耳の穴の奥にあるうすい膜です。音が出たときの空気のふるえが、鼓膜をふるわせます。ここまでは外から見ることができる部分です。
(2)耳小骨(じしょうこつ):鼓膜より内側には、小さな骨が3つつながっています。ふるえは3つの骨を順番に伝わっていきます。
(3)蝸牛(かぎゅう):かたつむりのような形の器官です。中にはふるえを感じ取る毛の生えた細胞がはえています。
(4)有毛細胞(ゆうもうさいぼう):毛の生えた細胞で、ふるえることで音がきたことがわかります。
(5)聴神経(ちょうしんけい): 有毛細胞のふるえのようすから、どんな音か(大きさ、高さなど)を脳へ伝えます。
(6)脳:音についての情報を受け取ります。
【骨伝導(こつでんどう))
 音が聞こえるしくみで、(1)の鼓膜ではなく、(2)の耳小骨へ音を直接伝えるために、頭の骨のおでこやほほの部分にふるえを伝えてみます。すると、頭の骨の中にある耳小骨がふるえ、(2)をスタートとして脳まで情報が伝えられていきます。これが「骨伝導」です。これに対して、空気のふるえが鼓膜をふるわせる伝わり方を「空気伝導」といいます。
 自分の声を録音したものを聞いてみると、ずいぶん違う感じがするのではないでしょうか。これは、自分には2つの伝わり方が両方聞こえていますが、録音するときは「骨伝導」では伝わらないため、違って聞こえるのです。
【骨伝導の利用】
 展示品でわかるように、耳だけでははっきり聞こえない音でも、骨伝導で聞くとよく聞こえます。また、耳をふさがないので、耳で聞くのとは別の音を骨伝導で聞くこともできます。
 このことを応用した製品がいくつか開発されていて、たとえば次のようなものがあります。
(1)耳のけがや病気のときに使える補聴器
 耳の穴に入れなくてもよく聞こえます。
(2)テレビのカメラマン用のイヤホン
 耳から入る周りの音を聞きながら、別の連絡をはっきり聞くことができます。
 みなさんなら、どんな製品を考えるでしょうか?



【 参考資料 】

参考資料
大自然のふしぎ 人体の図詳図鑑(1994)(学習研究社)
脳のしくみ(1997年)新井康允(日本実業出版社)
人体のしくみ(1994年)坂井建雄(日本実業出版社)
日本大百科全書(1986年)(小学館)
教えて!左巻先生 いまさらきけない物理の疑問 身近に感じる不思議編(2009年)左巻健男(技術評論社) 
絵と文 学芸員 堀内智子

 

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