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おどるすなもよう

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展示作品の狙い

 板の上に砂をきれいに載せ、スイッチを入れると音が出て板がふるえます。ふるえ方は板の場所によってちがい、ふるえ方が大きなところは砂が大きくおどり、ふるえ方が小さなところは砂はあまり動きません。その結果、砂がたまるところと少なくなるところができて、板の上にはふしぎな砂のもようができます。これをクラドニ図形といいます。

知識プラスワン

 このもようのでき方を発見したのは、ドイツの物理学者、エルンスト・クラドニです。クラドニは、18世紀後半から音についての研究を始めました。バイオリンやギターなどの弦楽器は、一本の線である弦が振動することで音が出ます。弦の振動は高校の物理学で習うもので、三角関数を使ってあらわすことができます。
 一方ティンパニや大太鼓、和太鼓は、ヘッド、皮などと呼ばれる平面を叩いて振動を起こし音を出します。また、バイオリンやギターなどの弦楽器も、弦から出た音が胴に伝わることで大きく豊かな音になるのですが、この胴もまた平面です。平面をふるえさせて音を出す場合には、振動の伝わり方が複雑なので単純な三角関数であらわすことはできません。
 弦を振動させて音を出す場合、音の高さの調節は、弦が振動する部分の長さとその弦がどれくらい強く張られているかで決まります。弦が短いほど、また強く張られているほど高い音が出て、反対に長い弦がゆったりと張られていれば低い音になります。弦楽器を弾くときには、弦の張り具合を調節して楽器の準備をします。
 ティンパニは、大太鼓や和太鼓とは違って、きちんとした音階を持つ楽器です。ティンパニのヘッドは6本〜8本のネジで張り具合を調節するのですが、均等に張らないとなかなかいい音が出ません。打楽器奏者は耳で音を確かめながらこの調節をします。展示でもクラドニ図形の複雑さがわかると思いますが、ティンパニでもこの複雑な音の出方を調節しなければならないので、打楽器奏者は苦労するのです。クラシック音楽を聴く機会があったら、ティンパニの音に耳をすませてみましょう。

 


【 参考資料 】

参考資料:音楽の物理学
文 学芸員 小塩哲朗

 

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