名古屋市科学館

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展示ガイド

ひかりのおえかき

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展示作品の狙い

 シートの上にライトの光を当てると、光を消しても緑っぽい光がしばらく見え続けます。ライトの光を動かせば、まるで光で絵や字をかいているかのようです。でも、その光は少しずつ消えていく不思議な光です。一般に「蓄光」と呼ばれる現象について、楽しみながら興味を持っていただく展示です。

知識プラスワン

【蓄光材料】
 この展示で見られる緑っぽいなんともあやしげな光、どこかで見たことないでしょうか。その光はしだいに弱くなり、やがては消えてしまいます。まるで光をためているように見えるため、このような物質を「蓄光材料」と呼んだり、粉末にして塗料としたものを「夜光塗料」と呼んだりします。時計の文字盤や誘導標識などで使われているほか、最近では有機ELディスプレイの材料としても注目されています。
【あやしい光の正体】
 ふつう、私たちが見る光は、電球や炎のように物質の温度を上げたときに発せられます。このあやしげな光は、ライトの光を当てることで物質を光らせているのが特徴です。その発光現象を「ルミネッセンス(luminescence)」と言います。
 物質をつくる原子は、外部から電磁波や摩擦などのエネルギーを受けることにより、通常よりもエネルギーの高い活性化した状態になります。 これを「励起(れいき)状態」といいます。 励起された原子は、もとのエネルギーの低い安定な状態に戻ろうとして、受け取ったエネルギーを光として放出するのです。それがルミネセンスの原理です。
 ルミネッセンスのうち、光によりエネルギーを与えて生じる発光を「フォトルミネッセンス(Photoluminescence)」と言います。フォトルミネッセンスには、さらに「蛍光」と「燐光」の2タイプがあります。エネルギーを受けている間だけ発光するものが「蛍光」、エネルギー供給を絶った後もしばらく光り続けるものが「燐光」と呼ばれます。蓄光材料とは、長い時間燐光を発する物質のことで、硫化亜鉛とアルミン酸ストロンチウムなどが知られています。

 


【 参考資料 】

文 学芸員 西本昌司

 

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