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展示ガイド

ワンダーゲノム

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展示作品の狙い

『ワンダーゲノム』は、生命館5階常設展示室「生命のひみつ」の入り口にあるウエルカムボード(歓迎のあいさつ)にあたります。コンピューターとセンサーを使ったインターラクティブなゲームで、地球上の生物の共通性と多様性に関心を持ってもらうのがねらいです。ゲームの最後の画面に出てくる言葉「おなじでちがう ちがっておなじ 生きものの世界」にも注目してください。これがこのフロアの隠れコンセプトです。このゲームをクリアして、「ゲノム」って何だろうと思いながら、このフロアを探検してください。
  また、ゲーム画面と向かい側のボードは,穴から顔を出して、写真撮影するスポットになっています。ぜひご活用ください。


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知識プラスワン

ある生物が生きるために必要な遺伝情報の全体を「ゲノム」といいます。具体的には、親から子に伝わる遺伝物質DNA (デオキシリボ核酸)を構成する4つの塩基-A(アデニン)、T(チミン)、C(シトシン)、G(グアニン)-が直線状にどういう順番で並んでいるかという情報です。地球上の生物は、この「ゲノム」という同じしくみで生きていて、子孫を増やしています。そしてこのゲノムの塩基の並び方(塩基配列)の違いが、生物の多様性を作り出しているのです。    
 現在、ヒトや研究に使うモデル生物を中心にゲノムの全塩基配列が読み取られつつあります。ある生物が持っている塩基の数をゲノムサイズといい、数える単位はbp(base pair:塩基対)で表します。おもしろいことに、ゲノムサイズが大きいのが高等な生物という訳ではありません。例えばヒトのゲノムサイズは33億bpですが、植物のテッポウユリはなんと500億bpです。また、ゲノムサイズと遺伝子の数とは比例しません。実は、ゲノムの塩基配列には,遺伝子として働く部分とまだその働きがわからない部分があるのです。生物の複雑性は、ゲノムサイズや遺伝子の数で決まるのではないようです。
 さて、記念写真の撮影ボードには、男女の子どもとチンパンジーのゲノムのちがいが描かれています。ここでは、同じヒト(学名で言うとHomo sapiens)という生物種の子どもたちの間のゲノムのちがいが0.1%です。これはヒトという生物種の内部の[個体差](variationともいいます)です。性別や血液型が違ってもヒトですよね。しかし、生物種が異なるヒトとチンパンジー(Pan troglodytes)とのゲノムのちがいは、[種のちがい,種の多様性(diversity)]を表しています。ヒトとチンパンジーのゲノムの差は、1.23%です。反対にいうと約98%はチンパンジーとヒトは同じ遺伝情報を持っているのです。遺伝子のなにが、ヒトとチンパンジーとを異なる生物にしているのか、興味がわきませんか。ゲノムを比較すると生物の進化の道筋が見えてくるのです。



【 参考資料 】

参考資料/理科年表(2010)自然科学研究機構国立天文台(丸善株式会社)
ケイン基礎生物学(2012)M.ケイン ら(株式会社東京化学同人)
文 学芸員 尾坂知江子

 

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