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展示ガイド

呼吸・循環のふしぎ

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展示作品の狙い

 呼吸・循環について、基本的なことがらを紹介した展示品です(血液:全身に酸素と養分を届け、細胞から二酸化炭素と不要なものを運ぶ、心臓:休みなく血液を送り出す、肺:酸素と二酸化炭素の交換を行う、リンパ:全身を流れ体を守る)。
 映像画面と、その裏側で関係する知識を3つ、文章と絵で紹介しています。

知識プラスワン

 心臓の中は、4つの部屋に仕切られています(なお、ここで使う「左」と「右」は、人体自身の「左」と「右」です)。

 (1)左心房(さしんぼう:左上の部屋)肺から酸素を含んだ血液が肺静脈を通って入ってくるところで、(2)につながっており、(2)への入り口には、逆流を防ぐ「弁(べん)」があります。
 (2)左心室(さしんしつ:左下の部屋)ここから全身へ血液が送られていくため、筋肉が4つの部屋の中で一番発達しており、壁が厚くなっています。ここを出た血管はすぐ2つに分かれて上と下へ向かいます。
 (3)右心房(うしんぼう:右上の部屋)全身からもどってきた血液がまず入る部屋で、(4)とつながっており、(4)との間にはやはり弁があります。
 (4)右心室(うしんしつ:右下の部屋)ここから、肺へ血液を送り出します。

【血液循環】
 血液の流れを見てみると、(1)—(2)—全身—(3)—(4)—肺—(1)—……と、くりかえし同じ順番で通り、循環していることがわかります。このうち、(4)—肺—(1)の部分を「肺循環」、(2)—全身—(3)の部分を「体循環」といいます。

【肺】
 口から吸い込まれた空気は口腔から気管へ入り、気管支で左右に分かれ、肺の中では空気の通り道は枝分かれして細くなり、最後はブドウのふさのような形の肺胞といううすい袋になります。肺胞のまわりを毛細血管が網のようにとりまき、肺胞と毛細血管のうすい壁2枚を通して酸素や二酸化炭素のやりとりが行われます。

【動脈・静脈・毛細血管】
 心臓から出ていく血管を「動脈」、心臓へもどる血管を「静脈」といいます。
 動脈の方が壁が厚いのは、心臓に近く、血液に勢いがあり、壁がうすいとやぶれてしまうことと、血液をおくるために筋肉がとりまいていることがあります。これに対し静脈は一度全身に広がってしまい、勢いのなくなった血液が通るので、壁があまり厚くなくてもいいかわり、血液が逆流しないように、静脈には「弁(べん)」があります。弁は、片方(この場合、心臓へ向かう方向)にしか開かない、片開きのドアのようなものです。もし、反対の向きに血液が流れようとしても、弁が閉まってしまうので、逆流できないというわけです。
 動脈も静脈も心臓から遠ざかるにつれて細くなり、2種類の血管は髪の毛よりも細い毛細血管が網の目のようになってつないでいます。細くても毛細血管は人体のすみずみの細胞まで酸素や栄養分をはこび、二酸化炭素や老廃物を受け取る大事な網なのです。

【血液の成分と役割】
 血液には顕微鏡などで観察できる「つぶ」として、赤血球(酸素を運ぶ)と白血球(体を守る)、そして血小板(傷口をふさぐ)が含まれています。白血球は見かけやはたらきでさらにいろいろな種類に分かれます。

【リンパの循環】
 リンパ(リンパ液ともいいます)は、血しょうの成分が毛細血管から組織にしみでたもので、血液に比べて水分が多く、タンパク質が少なくなっており、赤血球や血小板がありません。そのかわり、白血球の一種であるリンパ球が多く含まれています。
 リンパが通る専用道路がリンパ管で、人体のところどころにリンパのろ過装置であるリンパ節があります。腸管の付近のリンパには腸管で吸収された脂肪がたくさん含まれていて特に「乳(にゅう)び」と呼ばれます。
 リンパは、首のあたりの静脈に合流して、心臓に流れ込んでいます。

【リンパ管とリンパ節】
 血管は動脈と静脈が毛細血管でつながり、輪になっていてはじまりも終わりもありませんが、リンパ管にははじまりがあります。手足の先の方にある先の閉じた管がリンパ管のはじまりです。ここから首の方へ流れる間にリンパ節があります。リンパ節では、病原体・異物・毒素などをとりのぞくはたらきがあります。けがや病気のときにリンパ節のあたりが痛み、さわるとぐりぐりずることがありますが、そんなときには細菌に感染したりして、リンパ節がはれているのです。
 また、リンパ節はリンパ球の増える場所でもあります。

【止血のしくみ】
 血液には傷口をふさぐための成分が含まれていて、けがをしたときの大出血や傷口からの異物の侵入をふせぎます。
 まず、血液の中の血小板がかたまり(血栓:けっせん)をつくり、傷口をふさぎます。その後、「フィブリノーゲン」というタンパク質がいくつもつながって長い「フィブリン」というタンパク質になり、それがからみあってできた網の目に血液の中の赤血球や白血球がからんで、さらにしっかりした血栓を作ります。この反応には15種類以上の物質が複雑にかかわっています。
 なお、傷がなおってくると、プラスミンという物質がフィブリンをとかし、また血液は流れ出します。

【フィブリンはいつできるか】
 フィブリンがいつでも血液中に存在していたら、血液は流れることができません。そこで、通常はフィブリンの「もと」である「フィブリノーゲン」というタンパク質として水に溶けて存在します。血管が傷つくと、このフィブリノーゲンがいくつもつながって長いフィブリンに変化する化学反応がおき、血液がかたまって(血液凝固:けつえきぎょうこ)傷口をふさぐわけです。この反応には15種類以上の物質が複雑にかかわっており、そのしくみはまだ完全に解明できていません。

 


【 参考資料 】

解剖生理を面白く学ぶ(2008年)増田敦子(医学芸術社)
Newton別冊 人体図(2015年)ニュートンプレス
驚異の小宇宙・人体 別巻2ビジュアル 人体データブック(1990年)NHK取材班(日本放送協会)
新版 たのしい理科 4年・5年・6年、理科の世界2(2015年)有馬朗人ほか(大日本図書)
改訂版 フォトサイエンス生物図録(2007年)数研出版
実物大人体図鑑 3内臓(2010年)坂井建雄(大日本印刷)
たんけん!人のからだ 4 からだをめぐる真っ赤な血、5うんこ・おしっこ・息と汗(1999年)坂井建雄(岩波書店)
からだの不思議 だれでもわかる解剖生理学(2000年)坂井建雄(メヂカルフレンド社)
「免疫研究最前線」生物の科学 遺伝 (2016年11月号)

絵と文 学芸員 堀内智子

 

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