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展示ガイド

チャート

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展示作品の狙い

 何気なく見ている岩石の中に、過去の地球を探る証拠が隠されていることを感じてもらうことをねらった展示です。

知識プラスワン

 日本ライン下りで有名な犬山地域には赤茶けた岩肌が広がっています。ここで世界的にも重大な発見がなされました。
 今から2億4500万年ほど前、地球の生物種のうち95%(海生無脊椎動物種の絶滅率)もが絶滅と言われる大事件が起こっていることがわかっています。こ存じの三葉虫もこのころ姿を消したのです。ところが、どうして生物の大量絶滅が起こったのかについてはよくわかっていません。今も、その原因を突き止めるため、世界中の科学者が、証拠を探し続けています。
 犬山地域には、ちょうどこの頃できたチャートという岩石の地層が分布しています。チャートは、陸から離れた深海底で堆積した放散虫というプランクトンの殻が固まった岩石で、非常に硬いため昔は火打ち石として使われていました。現在では、庭石や玉砂利として使われ、気をつければよく見かける石です。犬山地域には赤茶けたチャートが広く分布していますが、黒っぽい部分もあります。そして、よく調べてみると、ちょうど生物が大量絶滅したころの地層が黒いことがわかったのです。
 赤茶けた色は、錆の色に似ています。赤いチャートは含まれている微量の鉄分が赤鉄鉱(3価の鉄)として含まれているからです。一方、黒っぽいチャートは、鉄が黄鉄鉱(2価の鉄)として含まれています。赤鉄鉱は酸化状態でできる鉱物で、黄鉄鉱は還元状態でできる鉱物です。つまり、赤いチャートが堆積したときは酸素がたくさんあり、黒っぽいチャートが堆積したときは酸素が少なかったと考えることができるのです。
 つまり、多くの生物が絶滅した頃に、酸素が少なかったと言えそうです。先にも言いましたように、チャートは陸から離れた深海底でできたものです。陸からはるか沖の海洋底までが酸欠となったということから、全地球的に酸欠となった可能性が高いと考えられます。しかも、この酸欠は約1000万年もの間続いたと考えられています。これこそ、生物の大量絶滅の原因ではないか、そんな学説が、ここ犬山地域から生まれ、議論されているのです。それでは、なぜ、地球全体が酸欠になったのか?その答えはまだ明確とはなっていません。とりたてて珍しくもない石にも、そんな地球の歴史が刻みこまれています。

 


【 参考資料 】

参考資料
縞縞学(1995年)川上紳一(東京大学出版会)
古生代末の「超酸欠事件」で最大の大絶滅が起きた(1994年)磯崎行雄 科学朝日1994年2目号p.106-110.
生命と地球の共進化(2000年)川上紳一(日本放送出版協会)
展示寄贈 東海財団
文 学芸員 西本昌司

 

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