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展示ガイド

宇宙線をみる

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展示作品の狙い

 宇宙のあらゆる方向から電子や原子核が地球に降りそそいでいます。それは放射線の一種で宇宙線といいます。この展示品でその証拠を見てみましょう。箱の中に青白く光る軌跡が宇宙線の通り抜けた跡です。しばらく見ていると数多くの宇宙線が通り抜けていくのがわかります。この箱とおなじように、あなたの体も宇宙線が通りぬけているのです。


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知識プラスワン

【宇宙線は大気上空で2次宇宙線になる】
 宇宙のかなたから飛んできた宇宙線そのもの(1次宇宙線)があなたの体をつきぬけるのではありません。大気圏上部の空気と宇宙線との衝突によって作られた2次宇宙線が地上に降ってくるのです。光の速さに近い速度で地球に飛び込んだ宇宙線は空気と衝突して核反応を起こします。核反応によって中性子や陽子が空気の原子核からはじき出され、それと同時にミュー粒子などが放出されます。

【相対論効果で地表に到達できる】
 ミュー粒子の寿命は約50万分の1秒です。その短い時間では光の速度でも600mしか進むことができないので、大気圏上部から地表に達する前に寿命がつきて、地表に宇宙線は達しません。しかし、宇宙線の速度は光の速度に近いので、相対論効果により寿命が延びます。それにより長距離を走ることができ、地表に達することができるのです。

【宇宙線を見えるようにする仕組み】
 宇宙線は直接に目でみることはできません。ではこの展示品ではどのようにしているのか紹介しましょう。

・スパークチェンバー
 写真奥の背の高い装置がスパークチェンバーです。この装置の中にはヘリウムを充満させた箱の中に金属の板が等間隔に並べられています。宇宙線が箱の中を通過すると、その通り道のヘリウムがイオン化されます。その瞬間に高電圧を金属板にかけると、イオン化されたヘリウムを伝って放電が生じ、目に見える青白い光となります。つまり宇宙線を検出した瞬間に高電圧をかけて目で見える形にしているのです。装置にはシンチレーションカウンターという放射線(宇宙線)検出器が箱の上下に取り付けられています。その両方を宇宙線が通過したとき、つまり上下方向に宇宙線が飛んだ時だけに高電圧がかけられるようになっています。そうしないと、あまりに多くの宇宙線が飛び回り、観察しにくくなるからです。実際には地表では10平方cmあたり毎秒約2個の宇宙線が通過しています。なお、宇宙線が検出されると音がなりますが、これは通過を知らせるための合成音です。

・霧箱
 写真手前の背の低い装置が霧箱です。この装置の中にはアルコールの気体が入れてあります。装置内部の温度勾配を、上を高く、下を低くしてあり、気体が液体になる直前の不安定な過飽和状態に保っています。宇宙線が箱の中を通るとそれに沿ってイオンが発生し、それを核にしてアルコールの気体が集まって液体になります。これが雲のように白く見えています。粒子によってこのイオンのでき具合が変わることで、宇宙線の通過だけではなく種類を判別することができます。

【宇宙線はどこから生まれる】
 宇宙線の起源は太陽のフレア(爆発的なエネルギー放出)からによるものと、太陽系外の超新星爆発によるものとがあります。また、宇宙線の大部分は陽子であり、α粒子やさらに重い原子核も含まれます。



【 参考資料 】

参考資料
宇宙線はどこで生まれたか(1985年)桜井邦朋(共立出版)
素粒子・この小さな宇宙(1983年)佐治晴夫(ほるぷ出版)
宇宙・素粒子・わたしたち(1986年)佐治晴夫(ほるぷ出版)
素粒子ブック(1992年)(学習研究社)
物理のしくみ(1992年)小暮陽三(日本実業出版社)
文 学芸課 天文係

 

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