名古屋市科学館

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65cm望遠鏡

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展示作品の狙い

 65cm望遠鏡は、1986年3月に旧理工館屋上天文台に設置されました。望遠鏡の性能は主鏡の口径で表します。
この大望遠鏡の口径は65cm。これは当時の一般公開用望遠鏡の中で最大でした。みなさんが気軽に訪れることのできる街中に設置するため、街明かりの影響をできるだけ受けないよう、鏡筒の内部は特殊な黒色塗料で塗られており、迷光(内部で乱反射する光)を防ぐためのたくさんのドーナッツ型の板が入れられています。

知識プラスワン

 望遠鏡を使うと、なぜ天体がよく見えるのでしょう?
【望遠鏡の集光力と倍率】
 夜空の星や天体は、昼間の景色などに比べると暗いです。望遠鏡は遠くを望むと書きますが、これは十分に明るい昼間の景色を見るときのことで、天体望遠鏡においては、その基本は光を集めることなのです。
 光を集められる能力を集光力といいます。これはレンズや鏡で光を集められる面積で求めることができます。
 65cm望遠鏡は肉眼の1万倍もの光を集めることができます。直径は目の瞳孔(暗いところに順応し大きく開いた状態)が7mm程度に対し約100倍となりますから、面積は100×100で1万倍です。
 一方、倍率が大きいと、見える範囲は狭くなり、全体として明るさは低下します。単純計算ですが、65cm望遠鏡を倍率200倍で見たとするとすると、その明るさは集光力10000÷倍率200=50倍。50倍かすかな天体の200倍細かいところまで、見えるわけです。
 もちろん見え方は望遠鏡そのものの品質に大いに関わりますが、十分に品質の良いものであれば、口径が大きいほど、よく見えるということになります。そこで名古屋市科学館では、多くの市民のみなさんにより良く見ていただくため、大望遠鏡による観望会をおこなっているのです。
【昼と夜の観望会】
 せっかくの大望遠鏡をできるだけ多くの方にご覧いただきたいということから、昼間にも望遠鏡を活用するため、昼間の星をみる会を月2回のペースで開催しました。夜間の市民観望会も当初は月に1回、その後も年6回程度、月齢や天象に合わせて開催してきました。
 改築で65cm望遠鏡が引退した後は、屋上天文台に新設された80cm望遠鏡で市民観望会を行ないます。
【街中でも見えるの?】
 市街地では地上の明かりが夜空を照らし、空が明るくなってしまっています。それでかすかな星や天の川が見えなくなっています。しかし、明るい天体はちゃんと見えています。また市民観望会でみなさんにごらんいただくのは、有名な天体である月や、木星、土星などが多いですね。これらは、街中でも明るくみえているので、山奥へ出かける必要はなく、交通の便の良い街中で十分楽しめるのです。さらに街中は空気のゆらぎが少ないので、倍率を高くして観望する月や惑星がよく見えるという特徴もあります。 反対に山奥では、暗くかすかな天体が見えるというのが特徴です。そこで名古屋市のもう一つの大望遠鏡は、木曽御嶽のおんたけ市民休暇村天文館に設置してあり、宿泊者向けの観望会を行っています。
 プラネタリウムのすぐ近くにあり、交通の便のいい街中の天文台と、自然に恵まれた山奥の天文台。名古屋市の特徴の違う二つの施設で、それぞれの星を楽しんでいただけます。

 


【 参考資料 】

参考資料
天体観察入門—はじめてのスター★ウオッチング (2006)浅田英夫(アストロアーツ)
新版反射望遠鏡光学入門(2005)吉田正太郎(誠文堂新光社)
公開天文台白書(2006)日本公開天文台協会
文 学芸課 天文係

 

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